公式配信第2回
遂に配信が始まろうとしている。予告の方は先月に9月予定とだけ。ある意味でも、今回の配信は定期配信というべきなのかもしれない。
小説サイトでBGMという概念自体は存在しないので、読者が自前で用意して流すレベルなのは相変わらず。
この辺りにはキャプション文に注意事項があるわけではない。
観測にいいねをする同業者も出てきている流れの中、文章VTuberの配信が第2回目を迎えるのだ。
そして、配信は始まろうとしている。
『皆さん、お待たせしました。アーカーシャチャンネルの管理人です』
姿を見せたのは、ショートヘアにメガネ、若干巨乳なメイド服姿の女性である。バ美肉かどうかは判断できないが、ボイスチェンジャーを使っているかと言われると……そういう感じはしない。
アバターの名前は設定していないようで、あくまで管理人を名乗るという流れになったらしい。
名前に関するキャプション文も前回にはあったが、今回はなくなっているのがその証拠だろうか?
『様々な時間、過去、未来、それこそ別次元……そうした様々なものに存在する時間の出来事、それらを観測するのがアーカーシャチャンネルです』
『皆さんにお願いがあります。アーカーシャチャンネルが観測できることは、全てが真実とは限りません。その一方で、観測した内容を炎上目的や単純なバズり、それこそ世界を混乱させるのに悪用する人はいるでしょう』
『私たちの情報はあくまでも観測、未来に起こるかもしれない出来事でも変えることはできます。安易な炎上によるバズり目当ての記事などには耳を貸さず、炎上案件に関しては拡散の阻止にもご協力ください』
この辺りの注意文メッセージは、固定されるようだ。ある意味でもアーカーシャチャンネルを名乗るなりすましサイトもいる以上、こうした注意喚起をすることでなりすましを減らすという考えかもしれない。
【アーカーシャチャンネルは、ほぼフィクションです。配信活動自体はフィクションではありませんが、観測内容は基本的にフィクションとなります】
【仮に観測内容が現実となった際は、その際に改めて再観測を行い、そこで改めて真実かどうかの告知を行います】
この文章だけは前回とキャプションと比べても、そのまま残っているので、ここは固定化されるようだ。
そして、アーカーシャチャンネルの配信は始まろうとしている。同時接続は……考えるだけ無駄かもしれないが。
『今回観測したのは、とあるエリアでの情報ですね。VTuberのアバターをそのまま使うゲームがリリースされる予定だとか』
今回の観測した情報もゲーム関係である。VTuberのアバターをそのまま使用し、プレイできるゲームがリリースされるという話だ。
様々なゲームでアバターが使われているが、そのゲーム独自で他のゲームへ持ち込めないケースも多い。
今回のゲームでは、他のゲームでも運用できるようなシステムを実装し、VTuberのアバターをそのままゲームに使えることで汎用性が高いのかもしれなかった。
『VTuberのアバターそのまま使えるというのは大きいですよね。ゲーム内でアピールできるチャンスですよ』
『一方で、なりすまし対策などはされているようですので、安易にレプリカアバターを読み込ませて該当するゲームにログインすることは不可能みたいですけど』
実際、SNS上でもなりすましが問題視されており、偽者が炎上すると逆に本物が炎上したように見えてしまうのも……問題となっていた。
ゲームでもなりすまし対策か……と思われるが、不正ツールやチート行為などもあるので、それを踏まえるとなりすましも一種の不正行為と認識しているのだろう。
『さすがにアーカーシャチャンネルを視聴している観測者の皆さんに、そこまでの不正行為をする人もゼロとも言えませんが、悪用してはいけませんよ』
アーカーシャチャンネルの視聴者を、管理人は観測者と呼んでいる。ある意味でも、アカシックレコードの一端を目撃しているという意味では、この呼称も間違ってはいないのだろう。
しかし、あくまでもアーカーシャチャンネルで扱うのはフィクションであり、現実に同じようなアバターシステムが実装されるかは……定かではない。
『色々と観測をしている間にも、時間となってしまいました。今後も、こうした風に観測した話題を配信していきますのでよろしくお願いします』
悪意を持った『バズり』や炎上と言った行為、それをアーカーシャチャンネルは望まない。
果たして、今回の観測を他の観測者はどのように話題として扱うのか? 個人的にも気になる箇所ではある。
『皆さんも、可能であればレッツVTuber、なのですよ』
最後の台詞は元気よく、管理人らしくはないような表情を見せることもあった。これが、お約束になっていくかは定かではない。
次回の配信スケジュールを見ると、定期配信を予定しているかのようなスケジュールとなっていた。
安易な収益化を狙っているわけではないが、今後も急なスケジュール変更がない限りは配信を行うようでもある。
彼女のリアクションを見ると、SNSの炎上に関しては悲しそうな表情をしているような場面もあったが、悲しませような事件が続かないことを祈るばかりだろう。
この配信をきっかけに、アーカーシャチャンネルが話題になる事を信じて。
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