第10話 アメちゃんVSブラックドラゴン
ダンケさんは倒れた。
そりゃそうだ。ブラックドラゴンだからね。ドラゴン系モンスターのなかでも、ことに強い。
僕とぽよちゃんは一ターン、ヤツの攻撃に耐えた。まあ、今の僕らにはたいしたことない。
「じゃ、今度は僕ね〜」
「キュイ〜」
「ライトソード!」
光属性を帯びた剣で、ブラックドラゴンの表面をサァーとなでる。と、ブラックドラゴンは失神した。
チャラララッチャッチャ〜!
経験値35000を得た。
ダンケはレベルがあがった。
ダンケはレベルがあがった。
ダンケはレベルがあがった。
ダンケはレベルがあがった。
ダンケはレベルがあがった。
ブラックドラゴンのウロコを手に入れた。
ブラックドラゴンが物欲しそうな目で見ている。アメちゃんをあげますか?
「ほらよ!」
アメちゃんの皮むきむき。なげる。
ブラックドラゴン食べる。
ブラックドラゴンはまだ満足できない。アメちゃんをあげますか?
「あっ? やっぱ巨体だからなの? 一個じゃ小さすぎたか。じゃあ、ほれ」
ポイポイポイと十個ほどなげる。パクパクパクと口でキャッチするブラックドラゴン。
ブラックドラゴンはまだ満足できない。アメちゃんをあげますか?
むっ。くそっ。さすがはドラゴン。かんたんには媚びないか。
「じゃあ、これでどうだ!」
ポイポイポイポイポイポイポイポイポイポイ!
パクパクパクパクパクパクパクパクパクパク!
ブラックドラゴンはまだ満足できない。アメちゃんをあげますか?
「ぬぅっ! 負けるもんか!」
ポイポイポイポイポイポイポイポイポイポイポイポイポイポイポイポイポイポイポイポイポイポイポイポイポイポイポイポイポイポイポイポイポイポイポイポイポイポイポイポイポイポイ——
パクパクパクパクパクパクパクパクパクパクパクパクパクパクパクパクパクパクパクパクパク……パクパク……パク……パク……。
「追加でどうだ!」
ポイポイポイポイポイポイポイポイポイポイのポイ!
パク、パク、パク……。
ブラックドラゴンが仲間になった!
はぁ、はぁ……アメちゃん無双!
「ヤッター! ブラックドラゴン仲間になったー! じゃあ、名前はブラック……は地獄の番犬につけたから。竜くんね。君の名前は東堂竜だ!」
「オオーン!」
うわっ、竜くんが羽ばたくと天井つきぬけた。さすが、強いな。
「みんな、竜くんにつかまって!」
「おおっ、さすがは私。失神しながらも相討ちに——」
「……そういうのいいんで、早くつかまってください」
僕らは竜くんに乗って地上に戻った。目の前にお屋敷がある。地下を歩いてるうちに、小屋から離れてしまったんだな。
じゃ、小屋に行って、オクさん助けて脱出しようかな。
と思ってると、なんか知らないけど、地下から逃げたはずのオークのみなさんがこっちに走ってくる。そのむこうからは四匹の地獄の番犬。あっ、ブラックたちだ。
「ギャー! 食われるー!」
「助けてくれ! 兄ちゃん」
「アメちゃん、くれぇー!」
「番犬が襲ってくる!」
「アメちゃん、くれぇー!」
「ブヒッ!」
今、ドサクサまぎれにアメちゃん要求してくる人数けっこうな割合でいたぞ?
「わっ、ちょっと、待ってください。押さないで。その子たちは僕の番犬だから……」
「わあっ、アメだ! アメだ!」
「アメちゃーん!」
「ガウガウ!」
正直、地獄の番犬から逃げようとしてるのか、アメちゃんにむらがってるのかわからない。その状態で僕らはダンゴになって屋敷のなかへ突入。
ああー! こっそり目的果たして逃げるつもりだったのにー!
「む? 何やつ? わが館へ侵入するとは無礼者め。成敗してくれ——ゲフッ!」
「だから押さないでー!」
「ガウガウ!」
「ブヒー!」
「アメちゃん、アメちゃん」
「アメちゃん」
「アメちゃん、くれぇー!」
「オオーン!」
僕、ぽよちゃん、ダンケさん、三匹の子ブタ、オーク三十人ほどと六頭の地獄の番犬、それにブラックドラゴンがダマになって、屋敷のなかをかけまわる。
「わあ、わあ、わあっ! みんな、落ちついて!」
ザラザラザラザラザー!
「また出たぞー! アメだー!」
「アメちゃーん!」
「アメをよこせー!」
「ぶ、無礼者め……我を誰と心得——ゴフッ!」
「ワアワアワアー!」
ザラザラザラザラザラザラザー!
「大量放出ー!」
「アメだ、アメだー!」
「アメちゃん。アメちゃん。アメちゃん」
「うちの子にも持って帰らなきゃ」
「あっ、ちょっと、みんな、何あさってんの? ダメだよ。勝手に。屋敷のなか物色しちゃ……」
「貸し付けの
「わあっ、やぶれ、やぶれ」
「燃やすほうがいいブヒ」
「アメちゃーん」
「き、きさまら、それは我の証文だぞ。何をす——グフゥッ!」
その騒動は三十分以上続いた。やっと、みんな落ちついてくれた。よっぽどお腹へってたんだな。
まあ、借金もこれでなくなったみたいだし、いっか。
さんざんあばれまわったのに、なんで屋敷の人が誰も出てこなかったのかなぁ? いくらなんでも気づくはずだよね?
「ん?」
よく見たら、ホールのまんなかでなんか伸びてる?
ハッ! 人間だ! あちこち青あざになってるし、なぐられたり、けられたようなあとがある。うちの竜くんにもふまれてるなぁ。背中にくっきり足跡が。
「あの、すいません。大丈夫ですか?」
返事はない。ひっくりかえすと完全に白目むいてた。
「あっ! コイツはドンヨークだ。私に金を貸しつけたのは、コイツだぞ」と、ダンケさん。
ほかのオークたちもブヒブヒ同意する。
なんかよくわからないけど、いつのまにか悪の親玉を退治してたみたいだ。
ラッキー。
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