第3話 初戦闘終了、そして
異界ゲートから現れた人型は全身が黒く、それぞれ場所は違うが体の一部に脈動する赤いものがある。見た目的にあの赤いのに侵食されているかのような不気味な感じ。
三体の疑似モンスターは特に武器は持っているようには見えない。しかし、手足にある黒く光る爪は見るからに頑丈そうでこれが武器と言ってもいいくらいだ。
今のところ異界ゲートから出てきたのは三体だけだが、試練で出てくるのが三体だけってことはないはず。
のんびりしていたら人数差でどんどん不利になる。ただでさえ初めての戦闘なのに、大勢に囲まれたら死は避けられないと思う。
ならば数が増える前に減らすしかない。
そう考えた私はすぐに走り出した。
一番手前の擬似モンスターの頭部を狙ってレイピアで突きを放つ。
擬似モンスターまであと数十センチという所でレイピアが止まった。
レイピアの剣先にはゲームとかでしか見た事のない、魔法陣とでも言いたくなるものがあった。その魔法陣によってレイピアは受け止められており、擬似モンスターは無傷だ。
擬似モンスターは反撃とかはしてこないで余裕そうに私をじっくり見ていた。
一旦距離を取ろうとした時、私の横をココくまが通り抜け、擬似モンスターへ向けて斧を振り抜いた。
ココくまの斧は魔法陣にうけとめられることなく、擬似モンスターの身体を両断した。
攻撃を防ぐ魔法陣は同時に複数は出せない……?
それとも反応出来なかっただけ……?
なぜ擬似モンスターがココくまの斧を受け止めなかったのかわからないけど、倒し方は分かった。
「ココくま今の感じであと二匹もやるよ!」
「くまー!!」
一匹倒された影響か、残った2匹の雰囲気が変わった気がする。
二匹の擬似モンスターは距離を詰めて飛びかかってくる。それを横に避けて、擬似モンスターの振り向くタイミングで胴体の心臓辺りへ突きを放つ。
ガキンと、再び魔法陣に防がれるが、気にせず素早く魔法陣が出ていない箇所を狙う。
魔法陣が出ていない場所は防げないらしく、私の突きは擬似モンスターの頭部を貫いた。
もう一匹の方はココくまが魔法陣ごと切り裂いていた。
なるほど、一定以上の威力があれば魔法陣を突破できるんだね。
あと、魔法陣同時に複数魔法陣は出せないっぽいから魔法陣以外を狙えば倒せる。
「ココくまお疲れ様ー!」
「くまくまー!」
異界ゲートから出てきた疑似モンスター三体を倒し終わり、一息つく。
いつでも動けるように異界ゲートを警戒しているけど、今のところ新しい擬似モンスターが出てくる様子はない。
魔法陣みたいなのがあるってことは、魔法や魔力とかもある可能性が高いと思う。
もしかしたら疑似モンスターだけじゃなくて私達人類も使えたりしないかな。
あー、でも小説や漫画とかだと地球の人類には魔力がない設定の場合もあるから使えないかも……。
図書室になら関連する本とかあるかもしれないから後で調べてみるかな。
――特殊試練を開始します。
いくつかの挑戦者の異界ゲートから侵食モンスターが出現しました。
該当挑戦者の試練クリア条件が変更されます。
クリア条件は侵食モンスターのボス撃破となります。
該当していない挑戦者は該当する挑戦者の救援に行くことが可能です。
救援に行った挑戦者の試練クリア条件も侵食モンスターのボス撃破に変更されます。
救援に行かなかった挑戦者は引き続き生存試練を続行となり、疑似モンスターと戦闘となります。
該当していない挑戦者は開幕の3匹以外は10分後に出現するように変更いたしました。
もし特殊試練を失敗した場合、その侵食モンスターは国内へ出現します。
救援に行くかの判断は端末から行ってください。――
私のところには何も現れていない。ということは私は該当していない。
私にできるのはこのまま生存試練を続けるか、誰かの救援に行くかの二択。
先程の戦闘が生まれて初めての戦闘だったけど、なぜかわからないけど恐怖とか、ためらいとか全然なかった。それに体が前よりも動かしやすいというか、思った通りになるから戦いが楽しかった。
「ココくま、救援行こうと思うんだけどついてきてくれる?」
「くまー!!」
こうしてる今も該当の挑戦者は戦っているはず、端末を急いで取り出す。
画面には特殊試練救援のアイコンがあり、それを選択する。
画面にはおそらく該当する挑戦者と思われる人の顔写真と名前、侵食モンスターの難易度、救援者の人数と生存数が表示されている。
該当する挑戦者には上から番号が振られており、一番下までスクロールしてみると挑戦者の番号は103。該当する挑戦者は全部で103人いるらしい。
すでにいくつもの挑戦者には救援者が行っているみたいで、救援者の人数が五人となってたり、多いところだと三十人のところもある。
侵食モンスターの難易度はA、B、C、D、Eの五段階らしく、おそらくAが一番難易度が高いはず……。
私のような挑戦者には戦える場所や装備もあるけど、国内に侵食モンスターが暴れたら……。
実家には両親や妹がいる。もしその近くに侵食モンスターが現れたら。
私が選ぶのは難易度Aの救援。
リストを確認して難易度Aの救援を確認していく。
数は全部で三つあった。
しかし、二つは既にリストが暗くなっており、生存数が0になっていた。
残った一つは救援者数11、生存数3。該当した挑戦者の名前はデュラン。黒髪の角刈り、厳つい顔の男。
十二人の挑戦者のうち八人が既に死んでいる。
まだ救援に行けるようになって数分しかたっていないのに……。
それだけ強い敵ということ。
私はデュランの救援に向かうことに決め、端末を操作して救援先を決定した。
私とココくまから少し離れたところに異界ゲートとそっくりなものがもう一つ出現した。
端末に目を向けると、出現した異界ゲートを通って救援に向かってください。と表示されていた。
「ココくま、いくよ!」
「くまー!!!」
私たちは新しく出現した方の異界ゲートに飛び込んだ。
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