Prat3:幼馴染とお耳掃除
「お待たせ〜、お兄さん♪」
ティッシュと綿棒を手にした紗季がソファーに座りなおす。ボフッと頭が沈み込んだ後に、石鹸の香りがふわりと鼻腔を刺激する。
「それじゃあ、ちょっと頭を上げて……よいしょっと。ふふっ。お兄さんの髪の毛が太ももに刺さってチクチクするぅ〜」
「わるい、痛かったら自分でやるから」
そう頭を上げようとした瞬間、ゆっくりと頭を下に押される。
「ううん。大丈夫だよ。それに、お兄さんの頭の下をこうやって手でなぞると……うん。これで大丈夫」
俺の頭と紗季の太ももの間を彼女の手が抜けていく。きっと髪の毛が刺さらないよう、横に流したのだろう。
ふふっと、紗季が鼻を鳴らし、
「それじゃあ、お耳綺麗にしていくね♪」
そんな優しい声の後に、ゆっくりと綿棒が、耳の中を撫でた。
ゴソゴソと壁面を撫でる音とこそばゆさに、思わず声が出そうになる。
「わ、お兄さん、お耳汚すぎぃ〜」
「……ごめん」
「ふふっ。でも、なんかこういうの結構面白いよね。ほらこーやって、側面を……」
耳の側面をゴソゴソと擦り上げる。何度も上下に動く綿棒に合わせて、柔らかい太ももが揺れた。
「うん、結構取れた……ん? おぉー、奥に結構大きいのあるね」
「取れそうか?」
「んー、ちょっと奥だから危ないかも、でも一応やってみるね」
もし痛かったら、言ってね。そう言って、紗季の綿棒が先ほどよりもはるかに深い位置で、ゴソゴソと音を立てる。
そして、先ほどよりも深い位置を擦られているせいか、音も、こそばゆさも、大きかった。
思わず、ん。と声が漏れてしまう。
「あ、ごめんお兄さん。痛かった?」
「いや……大丈夫」
「そっか。それじゃ、続けるね」
再び深い位置で綿棒が動き出す。ゴソゴソ……ゴソゴソとゆっくり動く綿棒。
最初こそ、こそばゆいと思っていたその感覚が、どんどん大きくなっていき、いつしかそれは心地いい快感に変わっていた。
何度も声が出そうになるのを我慢して、その代わり、足がぴくりと動いたりした。
そして、綿棒が上の方へ上がっていき、耳の穴から抜けると紗季が小さく息を吐く。
「……よし、取れたよ。」
「あぁ、それはよかった」
「うん。てかさ、お兄さん……」
すると、紗季の顔が耳に近づき、耳に息を吹き込む。体が自然と、ぴくりと反応し、それを見た紗季が鼻を鳴らした。
魔性的で甘い息を静かに吐き出す。
「さっき言わなかったけど、もしかして、気持ちよくなっちゃった?」
紗季の図星をつくようなセリフに、一瞬心臓が跳ね上がった。そのまま彼女は続ける。
「ずっと体、ぴくぴくしてたね。声だって我慢しなくていいのに」
「我慢なんて……」
「ふぅー……」
「——っ!」
「ふふっ。ほら、やっぱりお耳、気持ちよくなってるじゃん」
「気持ちよくなって……ん」
「ふぅー……ふぅー……んっ……。気持ちよくなってるお兄さん、可愛い♪」
耳元で、魔性的に囁いた後、彼女の顔がゆっくりと遠ざかっていく。そして、俺の頭を撫で、「ほら、次は反対側だよ」と、ゆっくりと頭を持ち上げた。
「だから、こっち向こうね」
まるで子供をあやすような言い方に、どこか悔しいような、気持ちを覚えたが、口よりも先に体が紗季の方向へと向いた。
紗季のお腹の方を向いたせいか、先ほどよりも、鮮明により強く石鹸のような匂いを感じた。
そんな俺の様子に「素直だね」と、鼻を鳴らす。
「お兄さん、そんなに気持ちよくなりたいんだ」
「……うるさい」
「ふふっ……って、こっちもだいぶ汚れてるじゃん。これは念入りにしつこく、お掃除しないとね♪」
「紗季、その言い方……っ!」
「あはは! またビクってしたね♪ そんなに私で気持ちよくなってるの? ねぇ、どうなの? お兄さん?」
そんな魔性的で挑発的な言葉とは裏腹に、優しく、ゴソゴソと耳の側面を撫でていく。
そわそわと耳の中を快感が埋め尽くし、ふとした時に、「気持ちいい」と言ってしまうのを必死で耐えた。
そして、
「ふぅー…ふぅー……。はーい、お耳の掃除終わったよ、お兄さん♪」
紗季のそんな言葉に、体を仰向けにする。
タワワに実った胸の向こう側に、紗季の綺麗な瞳と視線がぶつかる。すると彼女は、いたずらに目を細めた。
「どうしたのお兄さん、顔蕩けちゃってるよ? もっとしてほしかった?」
そんな魔性な表情を浮かべる彼女に、「揶揄うな」と口早にセリフを吐く。今更ながら、自分より年下の女の子に、挑発的な態度を取られていることに、恥ずかしさを覚えたのだ。
ゆっくりと起きあがろうとして、頭を持ち上げる。しかし、その瞬間だった。
「んもぉ〜。素直じゃないなぁお兄さん……ふふっ、えいっ!」
そんな紗季の声と同時に、視界が真っ暗になる。
顔全体にもしかかる、ムニッとした重みと生温かさ、硬い生地の感触。
小さく息を吸うと、石鹸のような香りの中に、どこか甘酸っぱい匂いがした。
「……っ! おい!」
「あはは! 素直じゃないお兄さん位は、私のおっぱい攻撃ぃ〜! ほらほら、素直になれぇ〜」
そう言って、さらに状態を前に傾け、タワワに実った胸を顔に押し付けてくる。それによりさらに、紗季の肌の熱を感じた。
そして何よりも、石鹸のような匂いとは別にする、この甘酸っぱい匂いは、紗季自身の匂いなのだろう。鼻から息を吸うたびに、濃くなるその匂いは、俺の心臓の鼓動を早める。
「紗季! やめろ!」
「あはは! 何慌ててるの? そんなお兄さんも……って、お兄さん、ちょっと、そんなに暴れたら……んっ、あっ……ん……」
そんな、艶やかな声を口から漏らすと、ゆっくり胸を持ち上げていく。
白いシャツの、大きな胸の膨らみ。その向こう側の紗季の頬は真っ赤になっていた。
目があった紗季が気恥ずかしそうに口をひらく。
「……もう、お兄さん。そういうのダメだよ」
……もしかして俺はとんでもないことをしてしまったのではないか?
そう、思った。
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