【完結済/BL/短編】彼氏の浮気が発覚するも結局はイチャつく話
@huwawa_wahuhu
第1話
休日の昼下がり。オレは目の前に座る色男に告げる。
「別れよっか、オレたち」
そう言って、コイツの家の合鍵をコトリとテーブルの上に置く。
何気ない日常の一幕が流れていたはずのリビングに、一瞬にして静寂が流れた。
視線を前に 向ければ、ポカーンという効果音が付きそうなぐらい間抜けな顔が目に映るのが面白くて、場違いにも笑っちまいそうになる。
まあこの美形顔も今日で見納めなのだからたっぷりと見つめさせてもらおう。 最後ぐらい罰は当たらない筈だ。
「…本気か?」
「そうだよ、だから」
言い切る前に、ダンッ!とオレの言葉を遮るようにテーブルを強く叩きつける音が響く。その衝撃で置かれた鍵が金属特有の無機質な音を立てて床に転がった。
ドキドキと早まる心臓を必死に抑え込む。
そして訪れる数秒の静寂と、息苦しさ。
まるで心臓を丸ごと鷲掴みにされたような感覚だった。
だけどここで怯んだらダメだと自分を奮い立たせる。
「…....理由を聞いてもいいだろうか」
「お前はこの私に愛想でも尽いたのか? それなら俺は改善する努力をする、だから」
「違うよ」
必死に取り繕うとしている姿が意外だった。
普段余裕綽々って感じで澄ましてるアンタでもそんな顔出来ンだね。初めて見たかも。
いや、こんな事が言いたいんじゃなくて。とにかく落ち着け、オレ。
絆されたりはしないんだ、もう決めた事だから。
それにこれは自分自身の為でもあるんだと言い聞かせて、軽い深呼吸と共に気持ちを整える。
「お前…ってさ、オレのこと、もう好きじゃないよな」
そう言葉にした瞬間、胸の奥を突き刺されたような鋭い痛みに心臓が裂けそうになった。
だけどこれが事実なんだから仕方がない。今まで目を逸らしてきた真実を口にしただけ。
ただそれだけなのに、何故こうも苦しいのか。
掌を強く握り、震えて今にも悲鳴を上げてしまいそうな喉を引き締め声を絞り出す。
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