ナコの街

猫大長老七宝

第1話あたしら仲良し5人組!

 こんにちは、ナコです! 今日はお友達と楽しくお勉強会! 仲良し5人組で私の家に集まってまーす!


「コンビニ行かね?」


 勉強会開始から1時間、あさひちゃんが呟いた。4人は特に行きたくないということであさひちゃんは1人でコンビニに向かった。


 1人抜けると必ずと言っていいほど起こることがある。それは、その間ずっとその人の話題になる! ということ。


「あさひのやつ、この前あたしに宿題やっといてって渡してきたんだよねー、マジ可愛いわあいつ」


「ほんと、あの子には何されても怒れないよね」


 そんな話をしながら勉強を進めていく。1+6=7。3×4=16。6÷2=6。2866×1759= 5041294。セリヌンティウス。塩基性。ピーマン。ピータン。ピーターパン。ピタパン。


 遅い。あさひちゃんが出掛けてから1時間は経っている。昼間だから1人でも大丈夫だろうと送り出したが、もしかしたら何かあったのかもしれない。


「あさひ、大丈夫かな」


 ゆっこが心配そうな顔で言った。


「知らない人に何かされたりしてなければいいけど⋯⋯」


 麤珠美ぞじゅみもあさひちゃんが心配なようだ。


「麤珠美、今はまだ明るいし、歩いて2分のコンビニなんだし、そんなこと絶対ない! そう信じようよ。多分缶詰めっちゃ選んでるんだよ」


 サンバサンバブンバボンバが語気を強めて言った。


「私もそう思う、そもそも並の人間じゃあさひちゃんに指1本も触れられずに返り討ちだよ」


 私もサンバサンバブンバボンバに同調した。あさひちゃんは柔道部とラグビー部と相撲部とオセロ部で部長をやっている超人だ。身体能力が高すぎてオセロ部以外では反則負けしかしないため、試合には基本出ない。


「シュワッチ!」


 外から大きな声が聞こえてきた。私たちは裸で勉強会をしているのでカーテンを閉めている。そのため外を確認できない。しかし、外には確実にウルトラマンがいる!


「みんな服着て! 外見るよ!」


 私が号令を出すとみんな慌てて取り掛かった。外は一体どうなっているんだ。気になりすぎて目玉がぐるぐるしている。


『準備オッケー!』


 みんなの準備が整ったので、カーテンをガラッと開けてみた。するとそこにはウルトラマンと、巨大化したあさひちゃんがいた。あさひちゃんが押しているようだ。む、ウルトラマンの向こうに見えるのは⋯⋯あっ!


「みんな! ウルトラマンの向こうの、めっちゃ奥のほうにUFOがいる!」

 

 私は力の限り叫んだ。


「見えないわよ! あんたの視力が基準だと思わないで! それより今はウルトラマンが心配よ!」


 サンバサンバブンバボンバに怒られてしまった。確かに私の左目の視力は80.0とハチャメチャに良い。UFOがいたのは恐らく600kmほど向こうなので、みんなには見えるはずがない。


「オラァ」


 あさひちゃんの右フックがウルトラマンの腹にヒットし、とんでもない速度で吹っ飛んでいった。⋯⋯あ、UFOにぶつかった! すごい! 狙ったのかな、あさひちゃん。


「ただいまー、ってあれ、なんでみんな服着てんの」


 あさひちゃんが帰ってきた。帰ってきたあさトラマン。


「もー大変だったよぉ。変な格好のやつが肩がぶつかったから慰謝料払えって言ってきてさ、30分くらい揉めてたらいきなり巨大化しやがって、私も巨大化して応戦したんだけど」


『見てた見てた』


 みんな嬉しそうに頷く。


「街の人たちにパンツ見られちゃったよ、とほほ」


「下にいた人は恐怖でそれどころじゃないだろ」


 麤珠美ぞじゅみのツッコミが炸裂する。


『ガハハハハハハ!』

 

 5人の楽しそうな笑い声がいつまでもいつまでも、いつまでもいつまでも夜が明けてもずっと聞こえていたらしく、近所から苦情の嵐だったという。

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