第11話 新たなるポイント

 困惑しながらも、ラーツは脳内ポイ活アドバイス妖精こと僕(意識体)を受け入れてくれた。妖精が助言してくれることは二人の秘密として、二人三脚の日々が始まったのであった。


 ラーツは一人で寂しい時や、分からない事があった時に僕に話しかけて来るようになった。始めのうちは声に出していたが、家族にイマジナリーフレンドかと思われるため次第に自問のように内に語り掛け、それに僕が答えるという形が出来上がってきた。


 コンサルティングというよりカウンセリングに近い形だろうか。次第に打ち解け、なんでも話し合う信頼しあえる関係になったと思う。


 そんな関係を築いていたら、気付けば5歳になっていた。


 ポイントもステータスも順調に伸びていた。もちろんストックやホールドしているポイントがある事、ステータスをバランスよく振り分けていることなども説明している。

 4歳児だからと言って侮ってはいけない。根気よく丁寧に心を込めて説明したら、細かくは理解しなくてもラーツを思って何かをしているという事は伝わるのだ。

 もう少し成長したらより細かく説明しよう。一人の人格になるころには、将来に多くの選択肢が生まれていることだろう。


 5歳の誕生日を過ぎると、驚くことが起こった。


 それに気付いたのは誕生日の次の日の事。夕食を終えラーツが寝る前にポイントの確認をしていたときである。

 ・・・知らない項目がある。


 その日は初めて念願の魔法の練習をした。午前中に父から教わると夢中になって練習した。午後は祖父から始めて木工を教わり、とても充実した1日だった。

 今までなかった日常を送ったからだろうか・・・

 それとも別の要因だろうか・・・



 僕たちは新たに「経験ポイント」なるものを手に入れた。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る