第72話 最強種(2)
軌道がズレたボスの攻撃を受け流すはずが、剣でモロに受けてしまい弾き飛ばされねーちゃんは木に激突してしまった。
そこへボスがチャンスとばかりに突進による追い討ちを仕掛ける。頭に生えた鋭く大きな2本の角がねーちゃんに迫ってくる。
「ねーちゃん!」「リサ!」「師範!」
ナビルはボスとねーちゃんの間に入り、突進攻撃を体を張って受け止める。ドガンと大きな音と共にナビルが押し込まれてどうにか止まると、体から血が吹き出した。
急所を躱すようにボスの突進を受けたが、1本のツノがナビルに刺さっている。
「ナビル少し押さえてろ!」
俺が渾身の一撃をボスの首へ目掛けて放つ。
「天下一刀流 兜割り」
今までで1番の手応えがあったが、倒すまでに至らなかったが、ボスの首筋には大きな傷が出来た。
「ギャオオオオォォーー!」
ボスはまさか自分がこんなにもダメージを負うと思ってもいなかったようだ。
かなり怒りモードであった。
そのスキにナビルがボスから離れて、ねーちゃんの側まで移動した。
「リサ、大丈夫?」
「すまない…肋骨をやられたな。」
「リサ、ちょっと離脱するわよ。」
ミレーネがねーちゃんをお姫様抱っこで抱えて後方へ移動した。ナビルも結構な傷を負っているがまだまだやるようだ。アドレナリンが出ているようで逆にテンションが上がっている。
ここにきて静かだったヒデさんが動き出した。
「みんな風馬くんが付けたあの首筋の傷を目掛けて攻撃を仕掛けるよ!他の箇所は皮膚が硬すぎて全然ダメだが、傷口なら攻撃が通るハズだよ。」
「奈緒は傷口への直接攻撃が難しいようなら、爆発系の魔法を放ってボスに隙を作ってくれ!」
「わかった、やってみる。」
「フーマ、俺はまだヤレるから止めるなよ。やられたままじゃ気が済まねぇ。」
「ナビルわかった。ただし、死ぬなよ。命令だ!」
「ボスもさっきの攻撃で結構ダメージを受けているが気をつけろよ。」
「ファイアボール!!」
奈緒の攻撃を皮切りに俺たちはボスと後半戦を開始した。
隙を突いて、ボスの首の傷口に攻撃を仕掛けるがボスもこちらの狙いに気付いており中々攻撃が入らない。
更に20分後ボスも傷口から血を流し疲れを見せ始めているが、それはこちらも同じだ。そして、ボスも無理をしており傷口が悪化している。
その時、ボスの体が赤く光り始めた…。
「なっ!スピードが…。」
「これが最強種といわれる由縁だ。ピンチになると興奮状態になり、スピードと攻撃力が数段上がる。ただし、防御力が下がるデメリットもあるので、逆にチャンスでもある。相手もそろそろ限界だ。」
「ナビル、そういう大事なことは始めから言っておいてくれ!!」
喋ってる間にボスが迫ってくる。
ボスを倒し切るチャンスだといってもそう簡単にいかなかった。逆にボスの猛攻を受けてこっちがピンチとなっている。
そして、俺はスピードが上がったボスのツノ攻撃を受けたのは良いが、ツノでルーンブレードを絡みあげられ、頭を振ってルーンブレードが遠くへ飛ばされてしまった。
「しまった!」
「風馬くん!」
俺はすぐさまボスの突進攻撃を大きくジャンプして躱す。しかしボスは更に俺目掛けて突進攻撃を仕掛けてくる。
ボスの攻撃が俺へ集中しているスキにナビルやヒデさんが攻撃を仕掛けているが、ボスの防御力が下がったといっても鉄シリーズ装備では中々致命傷を与えられなかった。
そして、何度か俺はボスの攻撃を躱していたが、ジャンプの着地点を狙ってボスが魔法攻撃を仕掛けてきたのだった。
これまで、遠距離攻撃を仕掛けてこなかったので、俺は虚を突かれてモロに受けてしまう。
ドガーーーン。
ボスはナビルとヒデさんに対しても警戒心を許しておらず、牽制で魔法を放つ。それによりナビル達も俺を援護に来れない・・・。
奈緒も魔法攻撃を行なってボスを俺から遠ざけようとするが、威力が今一つ足りずあまり効果がなかった。
そして、ボスが俺へ向けて勝利の突撃攻撃を仕掛けてした。
俺は魔法のダメージが残っており、素早く動けそうにない……ちょっとヤバいな。
「「「フーマ(風馬くん)(フーくん)!!」」」
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おまけ
<風馬派閥>
・恋人 : 2人 ミレーネ、高橋奈緒
・従属配下 : 9人 ミレーネ、ナビル、ジェイド、サミュエル、田村秀樹、高橋奈緒、田中一雄、田中和美、田中美咲
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