第57話 南中郷駅(3)



田中家が仲間に加わったと言っても、従属契約は1度使用すると10日間のクールタイムが発生するため、3人を配下に加えるまでに20日間かかった。


この20日間で、中郷町内で追い払った同盟は数しれず、5つの同盟を壊滅させて南中郷駅まで領地の拡大を成功させた。


その間に田中家(忍者マニア)たちには、特別なミッションを与えていたのである。



それは、諜報活動な得意な能力を生かした、配下重視型のプレイヤー探しである。


チャットを活用して、ある程度人の当たりを付けて、その後に偵察を行い人格や同盟の状況などを確認する。


移動範囲は限られているが、人材確保のためなので可能な限り優先して、領地を占領して必要な道を作った。地道な作業であるが、それを田中家はずっと地道に続けてくれている。


そう、この前の海岸線での戦いもそうだったが、プレイヤーが少ないのでどうしても手駒のモンスターが少なく、今後どんどん領地を増やすにあたり、確実に手に負えなくなってくるのが目に見えている・・・。


そうなるため、同盟員を増やすか、もっと手軽に連合を組むかになってくるわけだが・・・。どうも、連合となると・・・そこまで相手を信用してよいのか不安であり中々踏み込めていない。


ねーちゃんや涼真さんは家族であり特別だが、他の人は・・・。

そんなこんなで、田中家には、諜報活動を行ってもらっている。



そんな田中家には、結構広目の家を用意した。


忍者屋敷で無いが、今後の田中家の活躍によって多少、家のカスタマイズをしてやっても良いと思っている。


この田中家の加入は、情報収集面で大きな武器となっている。いると居ないとでは全然違う。一同盟に1人は欲しい。


そんな田中家の加入だったが、想定外の事が1つあった。


美咲が俺とかなり距離感が近いのだ。

それはミレーネと奈緒がヤクほどベタベタしてくる・・・。


正直、男としては有り難いことだが、彼女持ちの俺からすれば勘弁してほしい・・・。


更に出会った時は忍者装束で顔が目以外隠れていて気が付かなかったが、美咲は結構な美人さんだった。


美人だったことで更に拍車がかかり、俺に嫉妬の目が向く、特に酷いのがミレーネだった。


それは、エルフで美人の象徴と言われるがあまり無かったからだ。


それでもBカップはあるっぽい、美咲が自らいっていたので確かだろう。主様のためならばと自分の胸を俺に押し付けて確認させようとする。


顔がそれなりに美人で胸もあまり無くスレンダーなので、ミレーネの嫉妬が凄いわけだ。


そして、美咲も俺の家に住みたいと言っているのだが、俺の彼女たちの許可が降りるはずも無く日々朝晩の食事の際に顔を出すだけとなっている。



流石に自分の領地内なので、刺客が現れる事はないので、美咲もそこまで神経しつにならなくても大丈夫だと思うのだが……。


忍者として主に仕えるために、側で護衛しているのだとか・・・忍者っぽいとの気分的な問題らしい……。





〜田中一雄side〜


私は初めて本当の強さというものを知ったのかも知れない。


他種族にも温情を与える懐の広さ、フィールドボスにも敗けない個々の強さ、この2つを兼ね備えた君主に出会えたのだ。


風馬殿は私たち家族を配下(仲間)として暖かく迎え入れてくれた。

そして、私たちに特別なミッションを与えてくれた。



それは、今後の我が同盟の天下統一にとって欠かすことのできない重要な役割だった。忍者にとって失敗できない偵察のミッションであり、腕の見せ所だ。


チャットからのリサーチはここ1年で妻の和美がかなりのレベルまでに達している。


地味だがこの下調べで大体良し悪しが決まってしまう。この絞り込みを行わずにただ闇雲にターゲットを探すだけでは、空振りばかりで成果に繋がらない。


効率を上げるために、まず妻が調べ上げたデータを元に私と娘の美咲が偵察を行い詳細な情報を確保していく。


これでこれまでの局面を幾度となく乗り越えてきた。


「和美、例の風馬殿からの重要なミッションの件だが、調査状況はどうだ?」


「配下重視のプレイヤーですけど、とりあえず接触可能な範囲ではザット数十人いることがわかったですわよ。」


「流石、和美のリサーチ力だ。早速だが紙でリストを用意して貰えないか?」


「あなた、はいこれ。そう言うと思って、要望に合うような人物を絞ったリストを用意してあるですわよ。」



流石である。

因みに風馬殿からパソコンやプリンターなどの必要機材を提供してもらっており、ターゲットのリストの印刷まで完了している状態だった。


「もう少し違った地域に関しても該当しそうな人物がいないか調べてみるわよ。あなたもこれからこの人数の偵察を行うんだから気をつけてね。また新たな情報を仕入れたら連絡するわよ。」


「領地内からの偵察だからそうそうヤバいことにならないだろうが、気をつけるよ。ありがとう。」


「油断は禁物ですわよ。退路を断たれるってこともなきにしもあらずって言うますわよ。」


「肝に銘じておくよ、じゃあ行ってきます。」


そして、美咲と共に妥協を許さずにターゲットの絞り込みを始めるのであった。




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おまけ


<風馬派閥>

・恋人 : 2人 ミレーネ、高橋奈緒

・従属配下 : 9人 ミレーネ、ナビル、ジェイド、サミュエル、田村秀樹、高橋奈緒、田中一雄、田中和美、田中美咲


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