第42話 水沼ダム(1)


俺の主拠点の西側(水沼ダム方面:エルフが以前攻めてきた方面)に何らかの動きがあった。

正直言ってこっち側は、無警戒だった。というのも、北側に結構大きめの日本人連合がおり、エルフと日々戦闘を繰り返していた。


有難いことにストッパーの役割をしていてくれたので、安心していた。

先週の巡回で目視確認したが、日本の連合軍が劣勢でヤバそうな気配は感じられなかったからだ。


・【連合】とは同盟同士が手を組んでいる組織体の事を呼ぶ。

 同盟のようなこの世界のシステムによる契約行為は無く、口頭ベースでの約束事が取り交わされる程度である。

 拠点にも入れるが、あくまで戦闘(占領)の一環として侵入する形だ。

 もちろん自分の転送陣の設置は不可であり、領地間を互いに移動することも出来ない。

 相手を攻撃することも出来るし、逆に攻撃される可能性もある。

 どこまで相手を信用出来るかに連合の結束力は掛かっている。



そんな北の連合に動きがあったとの知らせが、奈緒経由で入ってきた。

そういえば、奈緒はこの前の海岸での一夜の後にちゃんと従属契約してます。


あの夜は、互いの思いを知って感情が高ぶっていたのもあって、ムフフフフゥ〜〜。

胸はミレーネより柔らかく、ムニュムニュしており触り心地が最高だった。ミレーネの胸も最高だが、奈緒と比べるとハリがある感じだ。


あそこの具合も良く、相性はバッチリです・・・。奈緒を立たせて、木に手をついて、お尻を突き出して貰って、後ろから責め立てたときは・・・良かった。


自分の領地だと誰も来ないので、思う存分周りを気にせずにいろいろと出来た。お互いにハッスルしてしまったのも、そういった要因もあったかと思う。誰が来るか分からないスリルを味わうのは・・・・俺にはまだ早いかな。




って、話が変な方へ向かっているので、一旦、話を戻す。

以前、ミレーネに水沼ダム周辺(西側+北側連合)監視を続けてもらっていたが、この連合の敵対勢力がエルフなので奈緒に代わってもらっている。やはり、北の連合にとっても、俺が日本人と伝えているが、配下のエルフが監視役として見張りにいると良い思いはしないだろう。配慮は必要だ。


急いで主拠点の家のリビングへ戻ると奈緒が待っていた。


「ごめんね。急に呼び出しちゃって。」

「いや、構わないよ。それで北の連合は何だって?」

「実は〜〜〜〜〜〜〜。」


大した事では無かった。

ただ単に連合加入についての提案・相談のようだ。厄介事じゃなくて一安心といったところだろう。

敵視されて戦争になったり、西側のエルフたちを阻止している見返りなんかを要求されたら・・・厄介だったな。今後どうなるかわからんが・・・。


「内容は了解だよ。まあ、俺だけだと決められないから、涼真さんたちに連絡するか。」

「それはそうね。いきなりコンタクトを取ってきたから驚いちゃった。」

「そりゃそうだよな。俺でも驚くよ。ところで、奈緒は連合を組むのってどう思う?」


ちょっと、この気に奈緒の意見も聞いて置くことにした。


「基本的に良いと思うわよ。ただ、どことでも良いって訳じゃないけど。・・・結局は相手がどんな人達かによるわよね。」

「俺も仲間が増える事は賛成だが。奈緒の言う通りで、まあ結局は相手次第だよな…。」

「どんな連合のルールがあるかも分からないわよね。」

「ああぁ〜〜、そこもあるんだよ。 古参組に有利なルールかもしれないな。連合へ加入するなら、ある程度落とし所を考えて話し合いに望む必要もあるかもな。」


その後、ねーちゃんと涼真さんに俺の拠点へ来てもらった。


「連合ねぇ〜。どんな内容か話を聞く分には良いと思うね。」

「私もまず信用できる相手かどうかの見極めと、連合のルールやどんな条件か聞いてみないと何とも判断できないわね。」


涼真さんとねーちゃんが順々にそう答えた。


「俺も相手がどういう人たちなのか全く知らないし、まず会ってみたいんだ。ただ、何が起こるか分からない。」

「風馬くんのいう通り、最悪の場合、奇襲をかけられるかもしれない。そのまま戦闘になる事も考えられるよ。」

「まあ、そうゆうリスクも考えられるけど一度会ってみましょう。」

「そうだね。連合の内容・条件・目的などを探ろうか。それで一度持ち帰って、別途返答だね。」

「了解。俺もそれで良いよ。」


3人で話し、北側の連合と一度会ってみる事に決定した。




俺、奈緒、涼真さん3人で水沼ダムの要塞まで転送陣を使って移動した。

要塞から外に出て、モンスターを連れずに徒歩で、連合の領地へ向けて歩いた。


北側連合は異世界人と戦闘を繰り広げているので、配慮してミレーネと獣人には、見えない場所で待機してもらっている。万が一の場合、すぐに援軍に来てもらうためだ。


因みにヒデさんにも同行して欲しかったが、海岸線の戦闘が思いのほか激化しており、離れられな状態だった。

現場で的確に指揮を取るためにヒデさんには、海岸線に残ってもらっている。


多数のD級モンスターをヒデさんに預けてあるので、一時的なら大丈夫だろう。

無理しない範囲で対応するようにと『いのちだいじに』の指示を出してある。


万が一を想定し、ヒデさんの側近のモンスターには、ヒデさんが危ない場合、体を張って守るように命令してある。

ヒデさんを失うという最悪の事態をこれで回避できるだろう。


あと、ねーちゃんはこういった交渉の場に参加したくないとのことで欠席している。

根っからの戦闘狂なので、(これを言うとねーちゃんに締められるが)領地防衛に励んでいるようだ。



北側の連合に見張りがおり、俺たちが歩いて、連合領地へ近づくとすぐに1人の男の人が近づいてきた。


「こんにちは、はじめまして私は『共同革命軍』所属『ガリレオ帝国(同盟)』の北山真吾です。今日は急なお願いだったのにご足労いただきありがとうございます。」

「はじめまして、態々ご丁寧にありがとうございます。私は『深緑の妖精』同盟のリーダーを務めております五十嵐涼真です。」

「お聞きしていると思いますが、今日来ていただいたのは、連合加入についての話です。今から関係者を呼んできますので、暫しお待ち下さい。」

「わかりました。」


北山さんはそういうと要塞へ一度戻っていった。

15分ほど経つと北山さんは、プレイヤーの3人とテーブルセットを持ったモンスター10体を連れて現れた。


「お待たせしました。こちらは『共同革命連合』の幹部3人になります。」

「はじめまして、今回はお時間をいただきありがとうございます。私は副連合長の1人を務めております櫻井正明です。こっちが、私と同じ副連合長の安倍環奈です。そして最後に外交担当の相葉純一です。」


各々が紹介されると会釈をした。

大体見た目は20代後半〜40代くらいの年齢層の人達のようだった。

至って真面目そうで、学生同盟のようなオチャラケた雰囲気は一切ない。


「こちらこそはじめまして、私は『深緑の妖精』同盟のリーダーを務めております五十嵐涼真です。こちらが葛城風馬、そして高橋奈緒になります。他にも仲間はおりますが、領地の防衛に徹しております。」


そして、櫻井さんと涼真さんが挨拶をしている間に、相手のモンスター達がテーブルとイスを人数分セットして、セッティングが完了すると立ち去っていった。

セッティングが完了したタイミングで、櫻井さんが俺たちへ着席を促した。




全員の簡単なあいさつを終えると安倍さんが口を開いた。


「最近の異世界人の状況はいかがですか?こっちはエルフ族との戦闘ばかりです。」

「こちらは華川町の山中の南側で獣人たちとの戦争が激化してますね。異世界にもいろんな種族の獣人たちがおり、それぞれで仲が良かったり悪かったりあるようで、日本人も交えて無法地帯状態です。そのため、多種族間での争いが今も続いています。」


涼真さんが俺たちの代表で返答をした。


「そうですか、どこも似たり寄ったりなのですね。」


「『共同革命軍』さんは大津港の市街地には進出しているんですか? 知っているなら市街地の状況をお教えいただきたくて・・・・。」


「私達はそっちまでは手を広げていないんですよ。基本的に山中を中心に活動しています。 『深緑の妖精』さんたちは華川町の山中以外にどこかへ進出しているのですか?」


「高萩の北部にも多少拠点があります。高萩は『審判の日』以降かなり人が減りました。そのため、可能な範囲で空き地を確保してます。」


「華川町だけじゃなかったのですね……。」


涼真さんと安倍さんの会話が一旦落ち着くと、次に相葉さんが話始めた。


「ところで、『深緑の妖精』さんの同盟員は何人ほどなんですか?」

「因みにうちは6つの同盟が合わさった連合で、26人の同盟員がおります。」


相葉さんに続き、安倍さんがちょっと自慢げに自分たちの連合の規模を説明してきた。


「……同盟員の数は置いといて、仲間は9人ほどになりますね。」


それを聞いて、相手の幹部3人がピクッと動いた。





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おまけ


<風馬派閥>

・恋人 : 2人 ミレーネ、高橋奈緒

・従属配下 : 6人 ミレーネ、ナビル、ジェイド、サミュエル、田村秀樹、高橋奈緒



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