第16話 南側防衛(2)
それから1ヶ月後、高ランクモンスターのレベルが上がった事により、土地lv4をあまり被害を出さずに獲得出来る様になった良い面もあった。
しかし、南側の獣人2人組が本格的に俺の領地に対してちょっかいを出しにやってくる様になったとの悪い面もあった。
しかもlv3領地を取られ始めるほどまで敵は成長していた。
更に悪い事は続き、東側の地球人が同盟での集団攻略とは言え、lv3土地を取り始める程に成長していた。
依然として西側の山奥は動きが無い。
南側の獣人の対応があるのにも関わらず、東側の日本人が調子に乗り始めたのか、自分の庭だからなどとの理由で俺のlv2、3領地を侵略し始めた。
まあ、確かに私有地に関しては勝手に領地を奪い返して良いと言ったのはたしかだな・・・。
東と南から攻められ始めたのは、良くない。
東側は私有地だった領地を勝手に取るのは許可しているが、それ以外の全然関係ない領地まで侵略されたとなると話は別である。
その点を東側のプレイヤーたちへ警告して一時放置する事にした。後は相手がどう出てくるかだな。
今は南側の敵対勢力を倒す事に専念したい。
東側の日本人はまだ、人との争い事や殺し合いに慣れていない模様で、忠告したら攻撃の手は止まっている。
いつまで、日本人が俺の忠告を守ってくれるか分からないが、この時間を有効活用したい。
まず手始めに、南側の防守に配下Dモンスターを向かわせたが、全ての場面で惨敗してしまった。
相手の数が少ないのに、こちらだけが多くの被害が出ている。
相手モンスターをあまり倒せず、こちらはほぼ壊滅だった。
それが相手に勢いを付けさせる事になってしまい、結果的に南側を結構侵略されてしまった・・・。
配下からの報告を受けると、南側の獣人ペアは能力を特化しており、ちょっと厄介だった。
【配下】Dと【創造】Dの獣人ペアだと推測出来た。
・【創造】D獣人が鉄シリーズの武器防具を創造。
・【配下】D獣人がDランクモンスターを召喚。
これらを組合せ、装備の整った強力なDランクモンスター部隊の出来上がりだった。
これぞ同盟の連携を生かした侵略方法であると、気付かされた。
必ずしも自分が創造をランクアップさせる必要が無い、手分け出来ることは手分けするのが同盟の強みか・・・。
「同盟って大切だな…。」
といっても、今は同盟を組む相手から連絡が来ない…。前からチャットで連絡をしているが返信が全くないのだ。
同盟を組もうとしている人はいるが、見つかんなかった。あの人が死ぬとは考えられないから無事だろうが。
獣人の対策会議をするため、ミレーネを主拠点へ呼び戻した。
そしてまず、俺の考えを説明した。
「俺は今回多くの犠牲を払ってもアレを手に入れたいと思っているがどう思う?」
「確かにアレは今度の戦力UPに繋がるし私は良い考えだと思うわ。」
「じゃ、作戦は・・・・こんななんだがどう思う?」
「基本的に良いと思うわ。ただ、不測の事態が起こることも考慮した方が良いと思うの。」
「確かにそうだ、浮かれ過ぎてたわ。」
・
・
・
「じゃあよろしく。」
「フーマも気をつけて。」
獣人ペアはミレーネと戦略を相談している間もずっと俺の領地を侵略して来た。
そして俺はlv3領地の近くで配下たちと隠れていた。
獣人たちは次の土地を求めて俺のlv3領地へ占領を仕掛けてきた。
数分後、俺は隠してあった配下モンスターたちと共に侵略者目掛けて攻撃を仕掛けた。
「前衛300と後衛100〜、俺に続いけー!敵を殲滅させるぞ、行けー。」
敵は2部隊分の60体×2部隊の鉄シリーズの装備が整ったDランクモンスターだ。
「まず、後衛が弓で相手後方に攻撃を集中しろ。その後、俺が正面へ行くから100体続け。それと同時に左右からも100体づつ突撃して、敵を囲むんだ。」
俺は素早く指示を出した。
敵を取り囲んでいるが、装備の差は大きかった。
俺はある程度余裕を持って敵を倒せるが、配下たちは3対1の状況を作って数的優位性を出しながら戦っている。
「あと少しだ。気合を入れろ!」
俺は配下たちへ檄を飛ばす。
戦闘開始から10分ほどで奇襲を受けた敵のモンスターは10数体まで減っていた。
「「「グウォー」」」
その時、敵の援軍がやって来たのだった。
その数200体以上だった。
鉄シリーズ装備のDランクモンスターは先程と同じ60体程だった。
大多数は鉄シリーズ装備をしているが、モンスターのランクまでは高く出来なかったらしく、ゴブリンなどの低ランクモンスターだった。
俺が囮となって前線で戦っているので、敵もここぞとばかりにモンスターを突撃させたのだろう。
それを測ったかのように俺の配下たちも300体ほどが四方から援軍に来た。
そんな中、綺麗な髪を靡かせながら、1人のエルフが俺の方へやってきた。
「ミレーネ良いタイミングだ。弓隊を率いて後方から援護しろ。俺は前衛で厄介な高ランクモンスターを優先的に倒す。」
「わかったわ。じゃあ50体ほどアーチェを借りてくわ。」
援軍により敵の三方を囲んでいたモンスターの壁にも厚みが出た。
このまま数的有利もあり、優勢な状態が続いている。
更に念の為に追加で呼び寄せた予備兵の一部を敵の四方を囲う様に攻め込ませた。
敵は前衛に出ている俺を優先的に攻めている。まあ、俺が落ちればそこで試合終了だからだろう。
ただ、ダメ押しで予備兵を使って四方を囲んでいるので、200体以上いた敵モンスターはどんどんと減っていった。
「もう一押しだ攻め立てろ。」
「「「「グウォー」」」」
俺の言葉に配下たちが鼓舞される。
そろそろ戦闘開始して60分経つので、時間切れとなるため、最後の仕上げを掛けようとしたら、更なる獣人たちの援軍が俺たちの前に現れた。
何を今更と思い先頭の銀髪の狼の獣人へ攻撃を仕掛けたら、俺の攻撃を受け止められてしまった。
長身が190cm近くあるだろうか、筋肉質でプロレスラーみたいな体格だ。なのに俊敏性も兼ね備えている。
「っう!獣人なのに中々やるな。」
「ふん、お前こそ軟弱な人族の癖に中々の力だな。今度はこっちから行くぞ。」
俺の力はDランクであるが、相手も凄まじいスピードとパワーで格闘タイプの獣人の拳が迫ってくる。
「オラオラオラオラ。」
俺も反撃をするが、力は五分五分といった感じだ。
よく周りを見ると、この獣人が率いてきた配下のモンスターはザコばかりだった。
しかし、獣人の装備は俺より良かった。
「ほう、これも止めるか。ここからは本気を出させてもらう。」
獣人がそういう言い、更にもう一段早くなった攻撃を仕掛けてくる。
左右からの拳の連打、更に時折混ぜられるキックも厄介だ。そんな時、獣人から強烈な右ストレートの一撃が放たれ、俺はギリギリの所を剣で受け止めるが、勢いに負けてそのまま吹き飛ばされ、腹部に強烈な痛みを感じるのだった「っうぐ〜」。
それと同時にピキッとした音と共に俺の銅の剣が折れ、鎧にも衝撃で少しヒビが入った。
「じゃあな、これでお終いだ。」
吹き飛ばされ体勢を崩している俺に獣人が更なる猛烈な勢いで迫ってくる。
「っち。ウルフたち、敵を俺の元に近づけるな。」
俺は素早い動きのウルフに獣人の接近を阻むように命令するが、獣人の方が早くこちらに迫って来そうだった。
俺は何とか立ち上がり、素手で獣人を迎え打つ様に構えた。
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