Ⅰ‐4
白髪のヤンチキ見た瞬間、俺もヤンキー歴が無いわけじゃないからピーンときたよね。向こうは俺のことを知ってるっぽいの。ほいでもって、経験則で言わせてもらうと俺が知らないのに俺のことを一方的に知ってるヤンキーなんてろくなもんじゃないわけ。利用しようとしてくるやつか、恨み持ってるやつか、タイマン張って名前売りたいやつかのどれか。
これってもう利用しようとしてくるやつ以外は喧嘩不可避な状況なわけだし、利用しようとしてくるやつだって
やだなぁ、入学式早々にこんなんに絡まれるなんてやだなぁって、ここでテンションがMAXまで下がってさ、「俺はただカワイイ女の子の隣の席になれたら嬉しいなぁくらいにしか思ってなかったのに何で?」って。おかしいな、おかしいなって。何か行っちゃいけない方向に突き進んでるような気がするなぁって。本当はバスケ部に入りたかったのに柔道部に入っちゃった中学時代と似てたんだよねぇ。
めんどくさいヤンキーの先輩がいて絶対入りたくなかったのに、なぜか他の先輩達にメチャクチャ気に入られて遊ぶようになって、気付いたら柔道部に入部してて、いつの間にか夜のコンビニでうんこ座りしながらタバコ吸ってたのに気付いたあの時と超似てるわけ。あの男臭くてイカ臭いだるだるな感じ。楽ちんだし楽しいけど、もうええて。
ラブコメが無いんだよなぁ、あの空間にさぁ。マジでバスケ部が良かった。爽やかじゃん。モテるじゃん。背も伸びるしいいよねぇ。柔道部なんか梅雨の時期に道着にカビ生やすやつがいたり、汗っかきのやつの
もうヤなの! 夜のコンビニもそう。先輩ってだけで自分より喧嘩の弱いやつに頭下げたり、喧嘩と威張ること以外に何の取り柄もないバカに暇つぶしに何かやれとか言われて無茶ぶりされるのとかもうヤなの。かといって1年2年先に生まれたからって偉そうにすんじゃねえとか先輩達に向かって吠えるほどヤンキー道を貫くつもりももうないしさぁ、マジでほっといてほしかったなぁ、あれ。
まあいいや。それでさ、これももうずっと同じようなこと言ってると思うんだけど、今の俺が求めてるのは少女マンガの世界で起こりそうなベタベタな胸キュンラブコメ展開だけだから。あっ、嘘ついた。異世界もしくは学園ものハーレムな展開も可。
基本的に俺はリア充になりたいから
そんな素敵で無邪気で迷惑な、他人に幸せマウントを無作為にゲリラ的にテロ的にとっておきながら、自己肯定感が
ついでだから言うけどさ、そもそもモテるやつは女友達が多いし、多いからさらに女友達の輪を広げられるわけじゃん? ほいでモテないやつってのは、ずっとモテないまま下ネタとか武勇伝とか男にしか受けないギャグに磨きをかけて、さらにモテなくなっていく悲しい負の連鎖にハマってくわけだよね? 地獄過ぎるでしょ。
中学時代にモテるための政治に大失敗をしてた俺は今度こそモテるやつらの輪に入って楽しく過ごそうとしてたのはみんな知ってるよね? そのための計画も練りに練ったしさぁ。それなのに何が悲しくてこんなヤンチキと喧嘩しなくちゃいけねぇんだよ。
そう思ったら何かね、目の前の綿毛タンポポみたいな頭したヤンチキが、俺をまたモテカースト最下層に引き
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