理想的なオフィス・ラブ 完

朝香るか

1. 仕事できる彼にあこがれて

 理想の恋にあこがれて……

 憧れて、恋焦がれるあの人。


 彼の隣にはいつも彼女がいた。

 何年たっても変わらない彼らは永遠の象徴。


 わたしにとっての憧れの形。


「よう」


「おはようございます」



 いつもそんな会話で始まる仕事。

 すれ違うだけで幸せ。


 貴方の横顔を見れるなら最高に満足。

 挨拶してくれるだけで嫌なことなんて忘れられる。


 単純な私。

「君はどう思う?」


「私は……」

 仕事中に意見を聞かれるだけで、

 彼に認められている気がして誇らしい。



「コーヒーどうぞ」

「ありがと」

 休憩中のほんのちょっとでも

 彼と接していられることが嬉しい。


 はじめは満足していた。




 でも欲張りな私。




 あなたのことが知りたくてしょうがない。


 貴方の好きなものは何ですか?


 嫌いなものは?

 尊敬できる所、

 直したいと思っているところ。


 全部知りたい。


 でも私にそんなことを知る

 資格なんてないの。

定時の時刻になると

 いつも彼女はやってくる。

 彼女にはだれもかなわない。


 きれいすぎるもの。

 美しすぎるもの。

 職場一の美人。

 もしかしたらモデルだってできるかもしれない彼女には。

違う部署の早乙女なつき。

「お疲れ様」

 たった一言、彼に微笑みかける優しい彼女。


 背が高くてすらっとしてて

モデルみたいなプロポーション。

 手足が長くて8頭身みたいに見える。小顔で髪が腰まである。

 6センチ以上の黒いピンヒールがよく似合う。


(いいな。あんな容姿が欲しかった)


 笑い合って幸せそう で。

容姿もいいうえに性格までいいなんて。

 好きになるっていいな。



 憧れはそのままに別の感情が顔を出す。

「彼以外を好きになるなんて、今の私には考えられない」



 

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