誰かの為に

Gamuwall

第1話

王城の広間、玉座に座る王に対してひざまつく勇者候補の2人の少年と聖女である1人の少女がいた。


「ヒロト、お前を勇者とする。魔王を倒し人類に平和をもたらせ。」


「はい。勇者としての使命を果たして参ります。」


「私からは以上。下がって良い。」


「「「失礼しました。」」」


3人は王城を出て宿屋まで歩き始めた。


「選ばれたのはヒロトか... 選ばれなかったのは悔しいがお前なら任せられる!頑張れよ!

勇者!」


「あはは、ありがとうカケル。必ず、魔王を倒してみせるよ!」


2人はお互いに握手をしあい、笑いあっていた。


「私のことは放ったらかしで男同士で楽しんでらっしゃるのですね。御二方?」


「あははは!ごめんねハル!別に仲間ハズレにした訳じゃないからね?」


「それはどうかしらね」


「あはは...」


苦笑いするヒロトの顔を見てそっぽを向くハル

カケルは2人を見て微笑んでいた


「明日は早めに王城まで行かないと行けないんだろ?今日は早く寝るんだぞ?2人とも」


「わかってるよ、カケルこそいつもみたいに夜更かしとかしないようにね」


「そうですね。貴方はいつも何をしてるかは存じませんが夜遅くまで起きれらっしゃるみたいですし、今日は疲れてると思いますし早く寝た方がよろしいかと」


「おう、俺も今日はさすがに早く寝るよ笑

俺も明日は昼には王都を出る予定だからそれまでには準備終わらせないといけないしな。」


ヒロトとハルはカケルの返事を聞き、笑顔を浮かべながらそれぞれが泊まっている部屋まで歩き始めた。

カケルは2人が部屋に入り見えなくなるまで手を振り続けその姿が見えなくなるとその場で俯いた。


「クソ...力不足っていうのかよ...あれだけ厳しい訓練にも耐えて、何体もの魔物達を倒して...。人々が幸せになれるように、悲しむ人が出ないように何十体も魔物を倒してきてもダメなのかよ...」


カケルはそう呟きながら自分の部屋へと顔を俯かせたままゆっくりと歩く。

その目は淀みとても深い黒色が支配していた。

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