第3話 きじ

 権兵衛さんは両親と三人で、自然と密接した生活をしている。山へ山菜採りするのは、専ら権兵衛さんの仕事だった。幾度となく山菜採りに行く道中、野中を駆け回る鳥がいることに権兵衛さんは、気になり出していた。その鳥の姿を確認するまでに、何度山菜採りに行ったことか。長年をかけて、権兵衛さんはきじに憧れを抱くようになっていた。権兵衛さんの見ていたきじは、人間の言葉を喋らないし、人間に従うことの無い自由が有ったのだ。権兵衛さんは遠い未来、動物たちも人の言葉を話せる様になると思っていた。そして、この自由なきじが、人様に従う時代がくる。

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