<フレンルート> エピローグ
あれから一夜明けて、女王は地位を剥奪され罪を償うために罪人として流刑される。王国騎士団隊長のベルシリオさんは女王の命で逆らえなかったとはいえ罪に加担したことで役職を外され一番下の兵士に逆戻り。王国魔法使いのカーネルさんは現在逃亡中らしいが世界中に逃走犯として指名手配されているのでいずれ捕まる事だろう。
ドロシーさんとレオンさんは罪に加担したが私達を助けた事から免除されドロシーさんは王宮に戻り魔法使いとしての仕事をこなすこととなり、呪縛と服従の魔法を解かれたレオンさんは自由の身となり旅立って行った。
色んな事があったけれどようやく落ち着きを取り戻したザールブルブで新しい国王の即位式が開催されることとなる。
「……うぅ。緊張する」
「ほんと、私達あきらかに場違いな気がするわよね」
なぜか即位式の参列席に招かれた私と姉は緊張で今にも倒れてしまいそうなほどの状況で目の前で執り行われている式を見ていた。
「こんな機会めったにないんだから、せっかくなんだからしっかりと味わっておきなさいよ」
「でも、明らかに周りにいる人達はお偉いさんばかりじゃないの。そんな所に私達が参加する事の方が間違っていると思うわ」
「大丈夫だって。二人の事気に掛ける人なんていやしないさ」
ドロシーさんの言葉に姉が言うとルキアさんが笑って答える。それでも私達は緊張でどうにかなりそうになりながらなんとか即位式が終わるまで耐えた。
「はぁ~。もう二度とこんなこと体験したいとは思わないわ」
「私も……」
ようやく解放されたといった心持で盛大に溜息を吐き出し語る姉へと私も同じ気持ちだと伝える。
「ここにいたのか……式中ずっと緊張しっぱなしのようだったが、大丈夫か?」
「フレンさん」
優しく声をかけられ振り返るとそこには笑顔の眩しいフレンさんが立っていた。
「フィアナ。……ちょっと話があるのだが……その」
「ふふ、分かっているわよ。邪魔者はさっさと退散するから、フィアナとゆっくり話をしてね」
「え。ちょっと、お姉ちゃん?」
フレンさんが何事か言いたげに姉を見ていたかと思うと姉はそう言って私を置いてどこかへと行ってしまった。
「……フィアナ。その、前にお前に言った言葉を覚えているか?」
「前に?」
彼の言葉に何か言われただろうかと考えてみるがどの事なのかさっぱりわからなかった。
「その、俺がもし好きな人が出来たとしても俺の立場的に本当に思いを寄せる
「フレンさんが王様になる存在の人だったからその政権争いにその人を巻き込んでしまうかもしれないから……ですよね」
フレンさんの言葉にそう言えばそんな話ししていたなと思い出し頷く。
「そうだ。俺が王になった後も権力を求める者達から命を狙われる可能性はある。国通しの戦いだって考えられる。そんな時俺が大事に思う人が人質にされたり、苦しい立場に合うんじゃないかと恐くて。だから本当に好きな人は側に置いておきたいとは思えなかったんだ。その人の幸せを奪ってしまうから。だけど……ルシア達に相談したら怒られてな。守り切る自信が無いからそんな弱音を吐くんだと。それだけ想う人ならばなおの事側で守ってやるべきだとな」
彼の話を聞きながらそんなにも想ってもらえる人がいる事を羨ましいと思う自分がいた。フレンさんが守り切りたいと強く願い幸せになってもらいたいと思う
どうしてそんな話を私にするの? 辛くなるだけだからもうやめてと言おうかと思った時フレンさんが再び口を開いた。
「だから俺はもう迷わない。君の事は必ず守り抜いてみせる。だから……フィアナ。俺の妻として俺の側でずっと一緒にいてくれないか?」
「へ?」
一瞬思考が停止した。フレンさんは今何て言ったの?
「妻になってくれと言ってもフィアナはまだ幼い。だからまずは婚約者として成人の儀を迎える日まで付き合ってくれないだろうか?」
「……」
聞き間違いでもなんでもなく、フレンさんは私に告白してくれた。それなら私もちゃんと答えなくちゃ。
「勿論です! 私最期の時が来るまでずっとフレンさんの側にいます」
「フィアナ……有り難う」
「!?」
今フレンさん私の右頬に軽くキスした? キスしたよね? きっと顔中真っ赤っかになっているんだろう私を見て彼は優しく微笑む。
こうして私が成人の儀を終えるまで彼の婚約者としてこれからもお付き合いすることとなった。
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