逆回転


凄まじい勢いで加速した爆風にゼノ押し飛ばされる。


「うわあああっ!?」


ゼノがそう叫ぶと、彼は咄嗟に受け身を取りながら叫ぶ。


スイッチはグラキエスと向き合い、こちらに注意が向かない様に誘導しながら戦闘を行っている。


「早くこれを止めないと……!!」


ゼノはそう呟くと、偶然にも目の前にあった見た目は光を放つ大きな穴『門』の縁にあるシステムにパッドに操作を初めた。


こんな機械を触るのは初めてなのに、何故か頭の中からこの装置の詳細や操作方法が浮かんでくる。


(どうしてわかるんだ……!?)


天性のカンか、才能か。だが、そんな事を今は考えている暇はない。ただ、手を動かしこの世界を救うのだ。


それしか思いつかなかった。


ゼノがパッドに触り操作をして行くにつれ『門』は振動し、音を立てて光を強めて行く。


「閉じろ!閉じろッ!」そう願いながらキーを叩く。


【『門』をマイナス方向に稼働】


「よしっ!これで……!」


操作パッドにそのメッセージが表示されたと同時にゼノは光を放つ『門』に視線を向ける。


その時、クナイが風を切ってゼノの頬を掠める。


「させんよぉ……」


フォルスが冷たい目でそう呟くと再びゼノに向かってクナイを構える。


「クソッ!僕の事を後回しにするのは良いけどよ、余裕しゃくしゃくかよ!?」


スイッチはそう叫びながら爆弾を爆破させグラキエスの氷を砕く。


「スイッチさん!大丈夫です!」


ゼノはそう言って腰からナイフを引き抜くと、フォルスに構える。


「……感服じゃよ」


フォルスが呟くと次の瞬間にクナイが顔面めがけて飛んできていた。


何とかギリギリでゼノはそれをかわすが、もう1本のクナイが横から脇腹を切り裂き鮮血が噴き出した。


「痛ッ!?」


フォルスは攻撃の手を緩めずにゼノに向かってもう1度クナイを投げようとするが、スイッチの爆破によって発生した煙幕に阻まれる。


しかし、クナイは煙幕の中を正確にゼノに向かって飛んできていた。


「弾けッ!」


スイッチの声に反応し、咄嗟にナイフでクナイを弾くと、スイッチ相手に飛ばしたであろう巨大な氷の柱が幾つも地面に突き刺さる。


「待ってたぜ!それ!」


スイッチのその言葉と同時に爆発が起き、氷の柱は粉々に弾け破片となる。


その破片に『門』の光が反射すると、凄まじい光を辺りに放つ。


「眩し……!」


『門』側を向いていたグラキエスとフォルスはあまりの眩しさに目を細める。


「今だっ!『バインド』ッ!!!」


グラキエスが目を開くと目の前にはゼノのバインドによって身動きが取れずもがくフォルスが居た。


「……助けるっ!……しまッ!」


グラキエスがフォルスに向かって走り出した次の瞬間、彼女は足を滑らせ『門』に落下し『門』の閉じる光と共に姿を消す。


それと同時に『門』は完全に停止する。


「ぐ、グラキエスッ!!」


拘束されながらもそう叫び『門』を見つめるフォルスの背後にはスイッチが立っていた。


「仲間が消えたみたいだな?」


「……この外道め」


フォルスがスイッチを睨むと彼は静かに言う。


「この世界の為だ」

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