詰み

ゼノはサランの目を見てハッキリと言う。


「……本当?」


「はい」


「私と一緒に戦ってくれるの?」


「もちろんです」


2人は見つめ合う。


そして、どちらともなく笑みを浮かべた。


━━━━

その頃、スイッチは暗殺ギルドの相手をしていた。


「オラァッ!」


スイッチは暗殺者の攻撃を紙一重で避けながらカウンターを放つ。


「ぐはっ……」


「クソッ!コイツ強ぇぞ!」


「囲んで殺せッ!」


暗殺者達は一斉にスイッチに飛びかかる。


「とりあえず……寝とけ!!」スイッチは飛びかかってきた3人をバインドで拘束すると、そのまま地面に叩きつける。


「この程度で死なないのは、羨ましい所だ……なっ!!」


スイッチは屋敷の窓から静かに侵入しようとする暗殺者をバインドで捕まえ、引き寄せて殴り飛ばすと、暗殺者はバルコニーに落ちる。


「これで全員か……」


スイッチはそう言うとバインドの効果を解除し、辺りを警戒しながら視覚スキルを発動しカメラのように屋敷中の風景を監視し始める。すると、スイッチはある重大な事に気付く。


「何故だ!?暗殺者が数名屋敷内に侵入してる!!」


その瞬間、スイッチは自身の後ろに立っている人物が何かをこちらに向けているのに気付く。


「ディヴィデ……やはりお前らだったか」


その瞬間、スイッチは氷の刃で脇腹を貫かれる。


「がはぁ……!?」


スイッチは痛みに耐えながら、その人物を睨む。


「世界を壊すのは、私達じゃない。アナタ」


その人物は氷のように冷たい女の声でスイッチに語りかける。


「貴様……」


「あなたの仕事はここまで、後は私達がやる」


「そうはさせるか」スイッチは傷口を押さえながら、魔法を唱え始める。


「『クリエイト・……」


「無駄」


女はそう言うとスイッチの喉元に氷の日本刀を向ける。


「畜生……」


「あと、これは。貰うね」


女はスイッチの懐から『鍵』を抜き取ると、懐に入れる。


「くそ……」


「安心して、殺しはしない。『スリープ』」


「にがさ……」


スイッチはその言葉を最後に眠りにつく。


━━━━━


「『フルスイング』!!」


「『バインド』!」


サランはゼノと共に襲撃してきた暗殺者を次々となぎ倒していく。


「次、右から2人!」


「了解!『バインド』」


サランの指示にゼノは的確に対処し、バインドで敵の武器を取り上げる。


「ナイス!」


サランはゼノに親指を立てると、目の前の敵に向かって大剣を振り、吹き飛ばして壁に打ち付ける。


「ぐわああっ!」


(すごい、怪力……)


ゼノは感心しながらサランの戦いっぷりを見ていた。


「次は左!5人!」


「はい!」


ゼノはサランの後ろから迫り来る敵にバインドを放ち、次々と無力化させていく。


「よし!このまま一気に……」


「サランさん!危ない!」ゼノが叫ぶと、後ろからナイフを持った敵が飛び出してくる。


ゼノは咄嵯の判断でバインドを放ち敵の動きを止める。


しかし、それが間違いだった。


その瞬間、縛ったはずの暗殺者は雲散し、隠れていた暗殺者達が一気に押し寄せてきたのだ。


(マズイ!)


「なっ!?」


(間に合わない!?)


ゼノは、迫り来る無数の刃がスローモーションで見え、立ち尽くす。


(殺される……!)


しかし、その瞬間サランがゼノの前に出ると、「『渾身』!!!」という叫びと共に、大剣を振り回した。


その勢いと威力は凄まじく、襲い掛かってきた暗殺者達を全て吹き飛ばす。


「おわりっ!!」


「サランさん、凄い……スゴすぎます!!」

ゼノは興奮気味に言った。


「行くよ!お父様の部屋はすぐそこ!!」

「はいっ!!」


2人は暗殺者達を振り払い、廊下を走る。


すると、ようやく領主の部屋にたどり着く。


「おりゃあああああああ!!!!!!」サランが勢いよく扉を開けるとそこには暗殺者3人と大剣で闘っている領主が居た。


「お父様!!」


サランは思わず大声で呼びかける。


暗殺者の1人の刃を受け止めていた領主は扉から入ってきたサランに気付く。


「……サランッ!?……ゔッ!」


「お父様ッ!!!!!」


領主は一瞬のスキを突かれ、ナイフが腹部に突き刺さる。

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