第22話 寮の部屋モデル化計画①
-side リック-
さて。ウィリアムこと、ウィルの症状が安定していて、保健室の先生が来る間、俺は俺でやる事があったので、そちらを優先することにした。
というのも、俺が寮に入る時、執事のライと一緒に考えていた事があったのだ。
「いいですか?リック様。貴族が大勢通う魔法学校というのはビジネスチャンスの宝庫なのです。」
「ほえ?そうなんだ。学校なんて、子供が遊びに行くところだと思ってた。」
「何にも考えずに行った場合、その通りではあります。ええ。しかし、油断してはなりません。子供は、大人に比べて、欲求に忠実、つまり購買力があるのです。
要するに、うまくいけば、金ず……、おっほん、いいお客さまになっていただけるはずです。」
「言い間違い方がサイテーすぎる。」
全く、その腹黒さ、うまく、隠せ隠せ。
「そういえば、こういうのはどう?
例えば、寮の部屋の家具を全て、俺の店の家具に変更してしまうとか。友達呼んで、パーティとかする際に、宣伝に使えそう。」
「おお!素晴らしい!いいアイデアですね!
学校に私は行けませんが、図面さえあれば、どのような家具をどのように、配置するか、部屋のテーマや色彩をこちらのデザイナーに頼み、提案するように手配いたします。
予算内になるような家具一覧と一緒になるべく早く、お送りいたします。」
「助かるよ。寮に入ったら一番に部屋の間取りを調べる事から開始する。」
「寮の規約とかもありそうですから、そちらの方も確認しないといけませんね。」
「確かに。どうしようか?」
「それに関しても、こちらでやっておきますので、ご心配なく。得意分野ですから。」
「うん!ありがとう。」
--っとこのようなやりとりがあったので、俺はいち早く、図面を確認しなければならない。ちなみに、今、ライはこの学校の寮担当のスタッフに、規約のことを色々聞いてくれているみたいだ。ライの使い魔の黒い鳥が教えてくれた。
今のやりとりを思い出してみても、本当に頼りになる執事である。
「ふむふむ。だいたいこんな感じか。」
俺は、メジャーを使い測定する。
まずは、部屋の壁。次に、床や天井などを測り、その数値を記録していった。
大体のところが測れ、一息ついたところで、--バタバタバタバタっと音がして、シルフ、フェルと、保健室の先生がやってきた。
「あなたが、リックくんですね。」
「え、ええ。」
「ウィリアム様は?どこに?」
「隣の部屋で寝ています。案内しますね。」
「助かります。」
ウィリアムと俺の部屋は隣同士である。
--っといっても、一部屋あたり、3LDKくらいあるので、そこそこ距離はあるのだが。
全生徒平等と言いつつ、貴族の部屋は大きい部屋が割り振られているみたいだ。
流石に、王族や大貴族の息子であるウィルや俺を三畳一間の部屋においたら、魔法学園と国との関係が悪化しそうだから、それは避けたいといったところだろうか。
その代わり、多分掃除は全部自分でやれという感じなのかなとも思う。
だから、ウィルも埃だらけの部屋に、やられてしまったというわけだ。
「ここの部屋です。大分、落ち着いてはありますが、念のため。」
「分かりました。」
--ガチャリ。とウィルの部屋の扉を開ける。一応、後で護衛の人らしき人が来るらしいが、今はいないから、割とセキュリティはガバガバである。
「これは……。」
「あ、忘れてた。」
ウィリアム部屋。俺のスキルで作ったホコリカバーによって、すっごいシュールな事になってたんだった。
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