貴族学校は最高のビジネスチャンス
第20話 魔法学園へ入学!
-side リック-
「みなさん、こんにちは。私は、この魔法学園に新しく入学した生徒たちの代表として、挨拶をさせていただきます、ウィリアムです。
魔法を学ぶことができるこの学園で、私たちはたくさんのことを学び、成長していきます。未熟なところもたくさんあるかもしれませんが、先生方や先輩たちのご指導を受けながら、一生懸命頑張っていきます。
魔法学園での時間を有意義に過ごし、仲間たちと一緒に成長できるよう、努力していきます。これから素晴らしい出会いや冒険が待っていると思うと、とても楽しみです。みなさん、一緒に頑張りましょう!」
ぱちぱちぱち……!
ウィリアムが新入生代表挨拶を終えて俺のところに戻ってくる。
この前まで、病弱だったウィリアムも、俺と一緒に無事に今年から魔法学園に通えるようになったのだ。
「ウィリアム、お疲れ様。良かったよ。」
「ありがとう、リック。ちゃんと準備しておいてよかったよ。人前で話すのは、やっぱり緊張するね。」
ウィリアムは少し疲れた様子で笑った。
病弱だったウィリアムは、普通の貴族に比べ、人前で話す機会が少なかったのだ。
それにしても……。
「当たり前だな。こんな大勢の前で話すのは誰でも緊張する。ウィリアムのスピーチは完璧だったと思うよ。」
「そう言ってくれると、心が軽くなったね。ありがとう。」
そう、ウィリアムは完璧にこなしていたと思う。第一、あの大人びた文章も、多分自分で考えているはずだ。
俺には、あんな真似はできない。
有能なやつだ。
「ありがとう、リック。君がいてくれるから、僕も少し勇気を持てた気がする。これからも、一緒に頑張ろう。」
ウィリアムは嬉しそうに笑った。
魔法学園に入学するとなってから、さらに仲良くなった気がする。
「ああ。」
これから、どんな事が待っているだろうか?友達はできるだろうか?など、期待を膨らませながら、先生の指示に従い、自分のクラスに行くのだった。
……その前に、家族に最後の挨拶だとか言って、止められたけど。
♢ ♢ ♢ ♢ ♢
ウィリアムと俺は同じクラスだ。
そもそも、クラスは、領地や議会の議決権を持つ上位貴族クラス、特権は持たないけど、地位と名誉はある下位貴族クラス、平民クラスに別れている。
一応、みんな平等に扱うと学園側は言っているが、同じ、環境で育った人間の方が仲良くなりやすいからとの配慮でこうなっている。
……まあ、ぶっちゃけうちの財政、最近、俺が立て直すまで裕福な平民とそこまで変わらなかったから、平民クラスでもいいような気もしているけど。
ウィリアムと俺が、クラスに入ると、周りがシン……、となる。
これは仕方のない事でもある。王子と、公爵令息が一緒に入ってきたのだから。
「あ、お兄ちゃん。リック、やっと来た。」
早速、馴染めるか不安だったが、静寂を破ったのは、第二王女のルカだった。彼女の一言で場が和らぐ。
「ごめん、遅くなって。」
「ううん、いいの。それより、オリエンテーションもう、終わっちゃったわよ。来てない2人は、また明日紹介みたいな感じだったわ。」
「えっ……!?そうなの?--ってもうこんな時間か。」
どうやら、思ったよりも、遅くに教室に来てしまっていたらしい。
それもこれも、さっきの入学式の後、うちの家族が、せっかくの記念だという事でちょっとしたお祭り騒ぎをしたせいだ。ウィリアムまで、巻き込んでしまい申し訳ない。
「はあ。残念だけど、仕方ないね。」
「ごめん、ウィリアム。」
「大丈夫。それよりも、早く寮に行きたいな。どんな感じか楽しみだし。」
「そうだね。じゃあ、ルカ。また明日!」
「ああ……、うん。気をつけてね。」
「うん。」
この学園は、3年間あり、全寮制である。
学生寮の部屋はどんな感じなのだろう。楽しみだ。
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