第29話 王子の花嫁

─天使の羽根が舞い落ちる、鏡の間にて─


広間には、羽根が千切れた神像があり、イリアは王子の花嫁として着飾られている。


眠い。とても眠い。


ここはどこなのかしら。


玉座の間だよ。


さあ、王子様が待っているわ。


貴方は王子様の妃になるの。


そう?誰?王子様って。ネルーはどこなのかしら。 


女、お前には武器も力もいらない。

ただ私に尽くしてくれればいい。

気が変わった。私は王位を継ぐことにする。


我が花嫁よ。我らの王国を築こう。


─イリアさん!起きてください!イリアさん!─


この女は私のもの。永劫に。


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