第22話 キミ、かわいいネ♪

黒沢くろさわ様、もっと、もっとぉ! めちゃくちゃにしてぇ!!」


 卯佐美うさみの声が激しく響く中、俺はその光景から目が離せなくなっていた。


 黒沢くろさわが男?? い、いや、違うだろ!!

 あの逞しすぎるイチモツ以外は、どっからどうみても女の子だ。


 それに黒沢くろさわは、文芸部の部室から飛び降り自殺をしたクズ野郎、西野にしの彰人あきひとのレイプ被害者のはずだ。


「そう、被害者だよ♪」


 ? なんだ??


 すぐ耳元から聞こえてくる、ちょっとだけハスキーな、でも、まるで練乳のように、とっても甘ったるい声。


雪奈ゆきなはね、レイプされちゃったせいで男の子のことが、大大大大大大っ嫌いになったの♪」


 俺は声の方に振り向いた。

 声の主と目が合った瞬間。俺はそいつに唇を奪われた。


 ねっとりとした舌がからみつき、練乳のように甘い甘い唾液が、口いっぱいに広がってくる。

 

 甘い……甘い……なんて甘美なんだ。


「ぷはぁ!」


 俺の唇を奪ったそいつは、さっきまで俺をもてあそんでた舌で、なまめかしく口から滴る体液をなめとった。

 そいつは、まるで透明のベッドがあるかのごとく空中にねそべって、妖しく笑った。


 サキュバスだ。


「キミ、かわいいネ♪」


 サキュバスは、空中に頬杖をついて、ニマニマと笑っている。

 蝙蝠みたいな羽と尻尾が生えた、とんでもなくきわどいコスチュームを着て、水色のショートの髪、涼やかな切れ長な目と整った顔立ち。そして、限りなく平坦なバストをしたサキュバスだった。


 意外だ。サキュバスにも貧乳っているんだな……。


「キミ、レヴィアタンさまのペットでしょ?」

「……………………っ! ……………………っ!?」


 俺は返事をしようとした。でも声が出ない。

 というか身体が動かない。なんだこれ??


「えへへ♪ ボクの媚薬が効いてきた!!」


 そう言うと、水色ショートのサキュバスは、俺のひたいにデコピンをする。


 背中がぞくぞくした。


 そして俺は、その場にペタンとへたれ込んだ。

 内股の女の子座りだ。


「キミ、本当にカワイイ♪

 ボクの好みのドストライクダヨ♪

 キミの初めて、ボクが奪ってもイイ??」


 え? どういうこと?

 イヤイヤ、童貞は夏休みに卒業済みですけど??


 俺の疑問をよそに、サキュバスはいそいそと服を脱ぎだした。

 そして理解した。


『キミの初めて、ボクが奪ってもイイ??』


 その言葉の意味を理解した。

 そのサキュバスの股間には、可愛らしい姿からはとても想像できない、とても逞しいイチモツがそそりたっていた。


 え? ええ!?

 俺、奪われちゃうの?!?

 お尻の初めて、うばわれちゃうの!?!?

 男の娘のサキュバスに犯されちゃうの!?!?!?


「えへへ♪ レヴィアタン様に助けも求めようとしても無駄だヨ?

 だってボクは、レヴィアタン様の幻獣じゃないモン♪

 レヴィアタン様には追跡不可能だよ♪」


 え? どういうこと??

 

「ボクはね、インキュバス。

 魔界の管吏かんり、アスモデウス様の幻獣なんダ♪」


 そう言うと、水色ショートのインキュバスは俺の後ろにまわりこみ、俺を魅了した舌先で、俺の初めての菊の花をやさしく愛撫しはじめた。


 背筋がゾクゾクする。


「ダイジョーブだよゥ。新しいトビラ開いちゃオ!!

 えへへ♪ えへ♪ えへへへへへへへへへへへへ♫」


 え? ええええ!? 俺……どうなっちゃうの??

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