第21話 あり得ないものが生えている!!
『今、飲み物を出しますね。コーヒーと紅茶、あと、お酢と緑茶がありますけど、どれがいいですか』
『じゃ、じゃあ、緑茶で』
『かしこまりました』
俺は、メイド姿の
「はい! そこまで!!」
演劇部部長の
「ほのか! いいわよ! イメージ通りよ!」
「ほんとうですか!? ありがとうございます!!」
「
「ええと……あ、ありがとうございます!」
俺、褒められたのか?? わからん。
なし崩し的に演劇部に入部して一週間。俺は流されるまま、稽古に励んでいた。
俺の役は探偵事務所に探し人を訪ねてきた役で、名前もない端役中の端役だ。
一方の
探偵事務所の助手役で、終始出ずっぱりでセリフも多い。
訪ねてきた依頼人に、やたらとお酢をお勧めするすっとぼけた役どころだけど、それが探偵事務所のミステリアスな雰囲気を演出するのに一役買っている。
通しで劇を行った後、部長の
「全体的に良くなってると思う。でも、
「……すみません」
「所長はこの物語の主人公なんだから! もっとエキセントリックに、大げさに!」
「わかりました!」
うん、演劇の素人の俺にはさっぱり解らんが、部長の
キーンコーンカーンコーン……
チャイムが校庭に響き渡る。下校時間だ。
「ふぅ。じゃ、今日はおしまい!
あ、
ギリギリまで個人レッスンするから!!」
「はい! 喜んで!!」
「他のみんなは解散!」
今日は、
そして、居残りを言い渡された部員たちも、大喜びで練習に参加する。
「じゃ、お先に失礼します」
俺は、大急ぎで部室を出ると、隣の空き教室へと駆け込んだ。
俺がいたら、
しっかし、
俺は演劇部に入ってからというもの、
なんだろう? カリスマ?
ゴンゴン。
着替えを済ませたタイミングで、空き教室の鉄製のドアがノックされた。
「センパイ、着替え、終わりました?」
「あ、うん。今行くよ」
俺は、ドアをガラガラと引いて教室の外へ出る。
「じゃ、帰ろうか」
「はい!」
俺と
嗚呼! 青春だなぁ! 俺、今、めっちゃ青春してる!!
童貞は、予期せぬハプニングで卒業できたとはいえ、未だ彼女いない歴=年齢なんだ。このチャンスは絶対に逃しちゃいけない気がする!
告白するならいつのタイミングだ?
やっぱり、文化祭が終わった後かな??
俺は
そして、とんでもなくアホな俺は、そこでようやく気が付いた。
「ゲ! 家の鍵、忘れた!!」
なんてこった……学校にUターンかよ……。
俺は重い足取りで学校へと向かう。
家路へと急ぐ沢山の生徒たちに「こいつ、なんで学校に向かってるんだ?」という白い目にさらされながらとぼとぼと校舎に入り、ふらふらと三階の空き教室へと向かった。
そこで俺は、とんでもない声を聞いてしまった。
「
私をいじめてくださーーーーーーい!!!!」
随分とエキセントリックだけど、あきらかに役のセリフじゃない。
俺は、演劇部の部室から聞こえてくる、主演の
そこで俺は、ありえないものを見た。
え? 生えている??
「
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