木の上にて

 私と、そのほかに幾人かが木の上で立ち往生していた。

 時刻はいつだろうか。少なくとも朝や昼ではない。空は薄暗い暖かみのある黄色だった。

 夕焼けや朝焼けの類ではない。黄色い夜というのがいいかもしれない。

 立ち往生とは言ったものの、少なくとも私は落ち着いた気持ちで枝の上でもさもさしていた。

 誰かが何かを言った。それは私たちにむけた言葉だった。

 木々は黄色い色を私たちの目に反射している。ふと、枝葉の隙間から、舗装された道が見えた。その道はゆるやかに曲がったりしながらどこかへ続いている。道の傍には街灯が灯りを灯している。

 私は他の人に何かしらの合図をして、木の枝を蔦のようにして下に降りてみた。

 足がふさっと黄色い芝生のような草に触れる。道は曲がりくねりながら、遥かに続いているようだった。しかし、先の方はしろそうな霧がかかっていて詳しくは見えない。街灯が黄色い風景を照らしていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

電車、駅のホーム @Dimension_pillow

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ