狼人間と赤毛のミツク

slime

第1話 伝染病

 赤髪の少女、ミツクは呆然とフォンの寝床だった所を見ていた。牧草にシーツを敷いただけの質素なベッドだと、フォンの寝顔を見ながら笑いかけてたのをふと思い出し、ミツクは目頭が熱くなってやがてボロボロと泣き出した。


 狂犬化ウイルスと名付けられた新型ウイルス。発見者はホシガミ博士だ。



 狂犬病のように、野良犬に噛まれた人から伝染するというのは、これまで村で何度もあった。

 

 未だ原因不明で、その内容はとつぜん人間が獣の姿になる。しかもその姿は他の野獣には似つかわしくなく、醜い。


 精神病患者を多く見る医者である、ミツクの父はこの現象に「最近の患者はみんな獣人になる悪夢を見ると言って、またその多くはそれが現実になるのではないかと信じて疑わないまるでライカンスロウピィ(人狼症)患者だ」と嘆いている。


「フォン、私は悲しいよ。伝染病なんていつの時代もあるのに。……村のみんなのせいだ」



その翌日、ミツクの姿は村から消えた。


 

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