第192話 共にオダマキへ
エルメダ空間からようやく解放され久々にミアン宅に戻ってきた。
カスミとヒナは卒業祝いに風の精霊を貰い、ノンは火の精霊を貰っていた。
3人ともずいぶんたくましくなった。5歳児だったのが10歳児くらいにはなっている気がした。
解放された日は、エルメダも息子グアーラと共に過ごした両親と楽しそうに話をしたりしていた。
解放された翌日
「んじゃ自分はオダマキに行きます」
「あぁ私も行こう、ソラリスに用事があるからな」
「オーガスタに行くんですか?」
「あぁ」
空間転移でぱぱっと行けばいいじゃんと思ったが口には出さなかった。
自分もガッザラに会いにいってみるかな、と思っていると。
「「私達も行きたい!」」
カスミとヒナが自分の方を見ながら言っていたが、ノンの方を見ると“ぇ~?”と言った感じだった。
多分エルメダ空間で学んだことを実戦で試したいのだろうと思った。
両親やミアンの方を見ると。
「良いんじゃない?連れて行ってあげたら?」
「そうだな、エルメダ様もいるし、Sランクのお前も居るんだ、大丈夫だろ」
まぁ、それもそうだ。
「まぁいいけど」
「「やった!」」
嬉しそうにするカスミとヒナ。
一方微妙そうな表情のノンが居た。
「ノンよ、色々な所に行けばお前のワープ先が増えるぞ?」
「行く!」
エルメダがノンの扱いを心得てきている。
ノンの場合は魔法が有効活用できるような誘い方をすると乗ってくる事がこの半年間で分った。
「行こうか」
「「うん!」」「は~い」
ノンのワープ先増やすためには普通に行く必要があるかな?
「いってらっしゃい」
「気を付けろよ」
両親とミアンの見送るなかミアン宅を後にした。
道中のんびりした旅になると思っていたが、エルメダが同行していたためにそんな事にはならなかった。
移動は常時駆け足!
アイエムボックス使用禁止!
食材も自分たちで調達!
狩で得た獲物は自分たちで解体!
何を目指してるんだろう?と思えるような内容の道中が続き、ノンがちょいちょい文句を自分に言いに来ていたが、カスミとヒナは不満を漏らさずにエルメダの訓練を受けていた。
国境都市ジャッスエイで3人が冒険者登録をして、冒険者として活動しながら旅を進めていくことになった。
とある森の中を歩いていると。
「ヒナ!ノン!フレアウルフの群れ!」
カスミが剣と小さな円形の盾を構えて臨戦態勢に入ると同時に、ヒナとノンに合図をした。
「ほい!」
と掛け声とと共に背負っている槍を構えるヒナ。
「ん~」
と言いながら、ノンは周囲警戒を始めた。
自分も腰の刀を抜こうとすると。
「まぁ待て、あの子らの初実践だ見守ろうじゃないか、ディナ」
「ハイ」
空間の大精霊ディナが現れ自分とエルメダが居る空間を周囲から切り離した。
初実践ね、現実に戻ってきてからは確かに初実践だが、エルメダ空間で狼系の魔物だけではなく様々な魔物を個々で、3人で対処できるようにと散々しごかれてきているから大丈夫だろうと思うが、少し心配だった。
カスミは、狼がとびかかってくるのに合わせて盾で弾き返したり、剣を振りトドメを差していた。
ヒナは、カスミがはじいた敵に槍を突き刺しトドメを指したり持ち前の俊敏さを活かし華麗に回避しカウンターでトドメをさしていた。
ノンは、空間転移を使い狼達の攻撃を回避したり、ファイヤボールをワープゲートに放り込んで対象の回避できないところに出現させ攻撃するとか怪我とは無縁の攻撃をしていた。
隔離された空間でエルメダと共に3人を見ながら。
「これ、ノンだけでもやれそうですよね」
「まぁ、あいつは性格があれだが、戦いのセンスはなかなかいいな、魔力切れを起こすまでに終わればだが……」
ノンの課題はそれだった。
自分で動くことすらしない為に無駄に魔素消費が多い、その為魔素切れを起こして離脱は当たり前のようにあった。
「絶対健康があれば無敵ですね」
「まぁな、そこまで甘やかすなよ?」
「3人が独り立ちするときには皆にあげるつもりですが……」
「ま、それまであいつらを鍛えてやるさ」
この旅の間だけじゃなくて、カスミ達が独り立ちするときまでやる気なのか!?
そんなことを思いながら3人の戦いを見守っていた。
嘗ては自分が歩いた道を通りながら、ブラン村~エスティア~ポートパラダイスと移動し、船旅を経てオーガスタ王国の港町ジャイアントツリー、王都オーガスタまでやってきた。
「よっし、私はソラリスに用があるから離れるぞ、後で適当に合流するからお前たちも適当にやっとけ」
それだけ言うとエルメダは白狼学園のある方向へ消えていった。
「どうするか、どこか宿とって休む?」
「休みたい~寝たい~」
一番最初に答えたのはノンだった。
まぁエルメダの元に居て一番の被害者といった感じだから仕方ないかな。
「んじゃ、宿にいこうか」
「「「は~い」」」
宿の部屋に入ると、ノンは即ベッドに飛び込み寝始めた。
まだ昼過ぎだが疲れがたまっていたんだろう……。
「カスミとヒナはどうする?」
「ん~私はまだ眠くないからな~」
「私も!」
「んじゃ、自分の知り合いの武器屋に一緒に行く?」
「良いなら是非!」
カスミは答え、ヒナは横で頷いていた。
ノンを1人にさせていくのもあれだけど、起こさなければ寝てる子だから多分大丈夫だろう。
『ヒスイ、ノンが起きて自分らを探すようだったら教えて』
『OK~』
とりあえずドライアドの見守りがあるから大丈夫だろうと思い、カスミとヒナと一緒にガッザラの武器屋を目指した。
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