第167話 この世界のスキル
あれから何度黒い人型集団と戦っただろうか?
100回や200回というレベルではなく万を超えている気がする。
本当に数えきれないほど繰り返した。途中から様々な武器を持った黒い人型と戦ったが、繰り返しやっていると攻略方法を見つけ活かしてもエンドレスの為にクリアした感が全くなかった。
「どうだ?だいぶ戦えるようになったな」
それは確かに、実感していた。
疲れ切って心音が頭に響くレベルまで疲れることはなくなった。今ではちょっと怠いなで維持するようになっていた。また終わり方も注意散漫になっている所を槍等で串刺しにされたり、避けきれずに矢を全身に浴びて終わる事が多くなっていた。
「そうですね、最初の頃のように、しんどい思いはしなくなりましたね」
「ベストコンディションで戦い続けられるにはもう少しかかるか、よっし、今回からは私が稽古を付けた後にいつものをやるか」
神が直接稽古をつけてくれるのか、こんないい機会なんてそうそうないだろう。
「よろしくお願いします!」
「いい返事だな、少しスキルについて説明しようか」
「お願いします!」
「この世界のスキルは2種類に分けられる、1つはパシップスキル、もう1つはアクティブスキルだ」
この2つならゲーム内で聞き覚えがある、パシップスキルは自動発動とか身につけてつだけで常時発動とかそう言ったスキルだった記憶がある。一方アクティブスキルは、ボタン押して発動するような意識して使うスキルだった気がする……。
「自動発動か意識して使うかですか?」
「理解が早いな、お前が持っていたスキルだと、鍛冶や二刀流なんかがパシップスキルだな、一方縮地や隠密、行動速度上昇はアクティブスキルに分類されるな」
この話題が出てくるって事はもしかして、縮地や隠密がパシップスキルみたいな状態にできるってことか?
「いいかスキルとしての縮地は一瞬で移動する術だ、要は素早く動けばいい、行動速度上昇に関しても同様だ」
いやいや、縮地は確かに素早く動けばいい、これは分かる。
行動速度上昇はちょっと違うだろ……。
「行動速度上昇は違うのでは?」
「いや、同じだ、素早く動くというよりも、極限状態の集中力と身体能力だからな」
たしかに、野球選手なんかが集中するとボールが止まって見えると言うし、身体能力があがれば素早く動けるようにはなるだろう。
「もしかしてですが、この世界のスキルって……」
「そうだ、殆どのスキルは、己自身を鍛えればスキルとしてではなく、意図しなくても常時使えるようになる。そういう意味では、お前は既に心眼が身についているのではないか?」
たしかに、スキルとして使った時のように青いライン、赤いラインではなく、狭い範囲だが気配で敵意の有無や攻撃してくる瞬間が察知できるようになっていた。
「狭い範囲ですけどね……」
「十分だ、慣れれば範囲は広がるからな、私との稽古はこれまでスキルとして身につけていた物を自身の物にしろ。それが課題だ」
行動速度上昇極みレベルの身体能力と集中力とが身につくのかな?
「わかりました、よろしくお願いします」
エルメダに向かい1礼した。
「よっし!行くぞ!」
それだけ言うと、エルメダの姿が消え、胸に強い衝撃を受け気づくと仰向けに倒れ空を見ていた。
いやいや、構えても居ないのに、いきなり全力でくるのってあり!?
「っふっふ、どうした?」
「自分準備も何もしてなかったですよね!?」
「まぁいいじゃないか、どんな状況でも即座に対応できないと死ぬぞ」
そういいながら、エルメダは楽しそうに微笑んでいた。
そりゃ分かるが、稽古ってさっき言っていたよね!?
多分何を言っても無駄な気がするので、刀を抜いた。
「それでいい、まずは私の攻撃を避けるか、受け流せるようになるんだな」
要は全神経を集中してエルメダの攻撃を見極めろって事ね……。
その後、どの方向に避けても、エルメダに何度も吹っ飛ばされ倒された。
行動速度上昇中の縮地のような感じで突っ込んできて、自分の胸を思いっきり押している感じだった。
ならばと思い、立ち上がり、まずは正眼の構えでエルメダを見た。
「まだやるか?行くぞ!」
エルメダが姿を消すのに合わせて、自身の腕そして刀を可能な限り真っすぐと前に伸ばした。
対策したと思ったが、背中に衝撃を受け前に吹っ飛んだ。
「危ないな……、何かしてくると思ったが、勘違いするなよ、反撃するための稽古ではない、これは避けるための稽古だ」
「そうでした」
あまりにもポンポン吹っ飛ばされるので、むかついていた為か本来の目的を忘れていた。
「まぁいい、いつもの稽古に移るか、立て、はじめるぞ」
基礎体力の事を考えたら、そう遠くないうちに避けられるようになるのだろうが、エルメダに一泡吹かせてやりたいと思うようになった。
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