第161話 召喚魔法!
リースからリンクル族達がむごい殺され方をした事、それをきっかけかどうかわからないが悪魔召喚の条件が整っていた事を知った。
『ヒスイ……』
『間違いなさそうだね……』
ユーロンスの街に張られた結界の中に悪魔が居るこれは確定といってもよさそうな状況だった。
『手遅れとなる前に召喚魔法をやろう!』
と言った瞬間、ユーロンスの街の方から“パキッ”っと何かが割れるような大きな音が響いた。
ユーロンスの街の方を見ると結界の頂上付近から黒い煙の様なものが出て来ていた。
『ヒスイ、あれって……』
『うん、間違いない!急ごう!時間がない!子供たち手伝って!』
ヒスイがそう言うと、周囲の森や草木から多くの緑色の光の玉が現れた。
現れた緑色の光の玉は、横の光の玉に繋がるようにくっついていき大きな魔法陣の様な形状になった。
『出来た!』
どうやらこれで完成らしい、その瞬間、頭の中に何か小さな声が響いてきた。ただ何を言っているのかが分からなかった。
直径2~30mほどある気がするどれだけのドライアドが集まったんだろうと思いつつヒスイが魔法陣の中心へふわふわと飛んでいった。
魔法陣の中心近くで止まり、目を閉じて何やらブツブツとつぶやいていた。やがて眼を開き力強く叫んだ!
『漆黒の闇を照らす一筋の光よ、集いてここに姿を現せ!召喚!光の大精霊レム!』
召喚したのは光の大精霊なのか、何とかなるのかな?と思いつつも、先ほどから頭の中に響いている声が徐々に大きくなってきているのを感じたが、まだ何を言っているのかが分からなかった。
辺りを強い光が何度も点滅するように襲う、まぶしいどころじゃない目を閉じていても点滅しているのが分かる。
やがて点滅が収まり目を開けると、ヒスイの目の前に一瞬ケサランパサランかと思える綿の塊のような白く丸っこいものが浮いていた。
『あ~やっぱりレムか~』
『なんか呼ばれてきたら酷い言われよう!』
『いや~なんか想像通りでさ~』
『君が呼ぶとしたらボクしかいないしね~ウンディーネもノームもソラリス様の所に居るし~』
『だよね~』
光の大精霊レムは、男の子って感じの声だなとか思っていると、ヒスイがレムを連れてこっちにやってきた。
『直人紹介するよ~彼が光の大精霊レム』
『えっと、レムですよろしく~』
少し前方に回って戻ったから多分お辞儀したと思う、ヒスイと違って目や口が見当たらないから、ただの綿の塊がふわふわ浮いているだけのようにも見える。
『自分は秋津直人です。よろしくお願いします』
『本当に則宗にそっくりだね~』
先祖にあった事があるのだろうか?
『レムはね~闇の大精霊プルートと一緒に生まれた最古の大精霊なんだよ~そして700年前、君と私のように、秋津様の相棒をしていたのだ!』
『そうなのだ!』
多分ドヤ!って感じなんだろうけど、ただの綿の塊にしか見えない物体なので表情やしぐさが分からない。
『そうなんだ……』
『ねね、レムリン多分その姿だと表情とか仕草が伝わらないと思うよ』
レムリンって愛称なのかな?
ヒスイととても仲が良さそうだった。
『ん~ドライアドと一緒の方がいいのかな?』
『多分ね、それに!今はヒスイだよ!』
ヒスイが緑色の小さな女の子の姿と対となるように、レムが白い小さな男の子の姿になった。
『ヒスイ?なんか意味あるのかな?』
レムがヒスイに訪ねると2人がこっちを見た。あれ?説明したことなかったっけ?と思ったが、説明した記憶が無かった。
『ヒスイと同じ色の翡翠って宝石の名前だよ』
『そう!宝石の名前なの!』
ヒスイはあたかも知っていたよ!って雰囲気なんだが……?
『んで、どうするの?レム君が悪魔を何とかしてくれるのかな?』
『そうだった!レムリンあれなんとかして!』
ヒスイが、レムの方をみて結界のヒビを指さしていた。
『ん~ボクにあの悪魔を何とかする手立てはないかな……、しいて言うならあの結界の内側まで押し込める位なら……』
『やっぱり~無理だよね~』
『君は、わかっていたよね?』
『まぁね~、あのクラスの悪魔の相手できるのってクロノスかディナだけだよね~』
ん~ヒビから大分黒い煙のような何かが出てきているのに、この2人は緊張感の欠片もないな……、このままで大丈夫なんだろうか?
『呼べ!わが友を呼べ!』
ようやく頭の中に響いていた声が聞こえるようになってきた。気になるのはその声が自分自身の声と全く同じという事だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます