第69話 冒険者ギルドに報告

 100層まで踏破した後、トザズトアの街に戻ってきた。


『ねぇ、ヒスイ、タグ取り忘れたらどうするの?』

『そのときは戻れないから、タグを持っていることが条件、冒険者登録してなかったら触れた瞬間戻っちゃうけどね』

『へぇ』


 偽装ステータスを元に戻し、冒険者ギルドに移動した。

 冒険者ギルドに入り受付に向かった。


「本日はどのようなご用件でしょうか?」


 36層~100層までの地図を記載した紙を渡した。


「ダンジョン踏破したので、これを」

「ぇ?」


 受付の人が出した地図をパラパラとめくっている。


「すいません、ついてきてもらってもよろしいですか?」


 手にしてる地図を綺麗にまとめながら言った。


「はい、大丈夫です。」


 多分案内先は、ギルドマスターアマネの要る部屋だろう、ついて行くと3階のアマネの部屋に案内された。


「おや、久しぶりだね~最近見ないから王都の方に行ったのかと思ってたけど、」

「マスターこれを……」

「ん?」


 アマネは受付の女性から地図を受け取りパラパラと捲っている。


「あ~ありがとう、下がっていいよ」

「失礼します。」


 それだけ言うと受付のお姉さんが出て行った。


「まぁ座ってよ、まさか見ないと思ったら踏破して戻ってくるなんてね、踏破のタグみせてもらってもいいかい?」


 促されたように、椅子に座り、机の上に首にかけていたタグを机においた。


「この色、単独踏破の証だね……」


 アマネがタグに触れると黒く変色した。


「本物か~ナット君の分もある?」

「ありますよ」


 言われた通りナットの分も出した。


「それぞれ冒険者カードとタグをくっつけてごらん」

「ほい」


 最初に、秋津直人のカードとタグをくっつけるとくっつけた部分が一瞬白く光った。改めて視ると証がなくなっていた。その代わり冒険者カードが厚みのあるオリハルコンカードになっていた。


「こうなるなら言ってくれないと……」

「ごめんごめん、この色の冒険者カードはSランク以上に価値があるんだよ、もしかしたら幻のSSランクよりもね」

「そうなんですか?」

「そうだよ、オリハルコンタグはそもそも、100層ダンジョン単独踏破のみだからね、100未満のダンジョンはいっぱいあるけど、100層ダンジョンはS単独でも困難だからね、SS級でも困難かもしれない」

「へぇ、持ってる人他にもいるんですか?」

「師が持っているよ、こことは違う大陸にあるドラゴンダンジョンと呼ばれるところで踏破したんだって。」 

「へぇ……」


 どんな人か会ってみたいな。


「王都のギルマスなんでしたっけ?」

「そうそう、会いに行くかい?」


 武術会があるし王都に行くのは確定してるからなぁ


「武術会に参加するつもりなので」

「参加する意味あるのかな……、100層ダンジョン踏破するような人と戦えるような人が来るとは思えないけど……」

『そうなの?』

『そりゃ、縮地と行動速度上昇を極めてるってだけでも人を辞めてるけど、無限に使えるとか普通あり得ないからね』

『どゆこと?』

『この2つは、使うたびに大幅に体力消費するんだよ、縮地の場合は、移動した距離をその速さで走った分の体力を、行動速度上昇は5倍の速さで動いたら相応の体力を持っていかれる、君は行動速度上昇から連続縮地とかやってたけど、絶対健康だけじゃなく戦神阿修羅様の加護があるから出来るんだよ~、絶対健康だけだと体力回復追いつかないと思うよ。』


 何も対価が無いと思って使ってたけど、そんな対価があったのを初めて知った……


『んで今の君と対等、それ以上に戦える人って一部の使徒とソラリス様とエルメダ様だけかな』


 ん~スキル使わないで優勝目指してみるか?いや称号だけでも貰いたい所……とりあえず最初の目標だし、一応王都に行こう……


「まぁ参加しますよ」

「そっか、少し待っててもらってもいいかい?」

「はい」


 アマネは席を立ち自分の机に向かい何かをし始めた。しばらくすると何かを手に戻ってきて、自分の前に差し出した。

 

「これは?」

「手紙だよ、紹介状とでもいえばいいかな?王都のギルドについたら受付の人に渡せばいいよ、師の元に案内してくれるはずだよ」


 あ~ありがたいかもしれない。


「ありがとうございます。」

「こちらこそ、地図と出現魔物の情報ありがとう」

「いえいえ、それじゃあ自分は王都に向かいますよ」

「うん、気を付けてね」


 ふと、思ったミスリル繊維、アマネさんの適正の糸合うのでは?と思いアイテムボックスから取り出しアマネに押し付けるように渡した。


「お土産渡し忘れてました!武器として使ってみてください!」

「ぇ?あ、ありがとう!」

「それじゃあ!」


 アマネの居る部屋を後にし冒険者ギルドを出た。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る