第62話 飛び級
トザズトアの街に戻ってきた。まずは冒険者ギルドに行くか、思えば抱っこしたままボス討伐をしてたな、それでも未だに寝ている。
女の子を抱っこしたまま冒険者ギルドに向かい、中に入ると、周囲の注目を浴びた。
そりゃそうか……、手配書の掲示板に行き例の3人の手配書を剥がし、受付に持っていった。
「すいません、3人の討伐と被害者の女の子なんですがどうしたらいいですか?」
3人の手配書をカウンターに置いて伝えた。
「賞金首ですね、畏まりました。ついてきてもらってもいいですか?」
そう言うと、カウンターの上に並べた手配書をまとめ丁寧に持ち案内してくれた。
「お願いします。」
またアマネの所に行くのかな?
思った通り、3階のアマネが居た部屋に通された。
アマネは自分を見るなり、納得したような表情を見せた。
「早速3人を片付けてくれたんだね?その子は被害者といったところかな?」
「そんなところですね。」
アマネは、受付のお姉さんから手配書3枚を受け取り
「ありがとう、戻っていいよ」
「はい、失礼します。」
また受付のお姉さんが去ったのを確認してから、
「それじゃあそこに座ってくれる?」
以前と同じところに座るように促されたので座った。
「3人共首かい?」
「いえいえ、死体そのまま持ってきています。」
「そっか、なら床に出してもらっていいかな?」
言われた通りに3人の死体を出していった。
アマネは、前回同様に色々見ている。
「君は弓使いなのかな?ジャガックスといいサットといい、弓だよね、そして他の2人は見た感じ外傷がないようだけどこっちは素手かな?」
あ~外傷無だったな……
「まぁそんなところですね」
「そうか、窒息でもないみたいだし秋津の武術かなにかかな?」
検死経験が豊富のようで……
「そんなところです。」
「そうか、あまり踏み込まないほうがよさそうだね、3人はどこで?」
「19層ですね、この子を連れているのが見えたので襲いました。」
伝えると、アマネが首を傾げた。
「あれ?ボク14層までにしておきなと伝えなかったっけ?」
そう言えば、そんなこと言ってたな……
「まぁ実際21層まで余裕でしたよ?」
「ボスのアイアンゴーレムも1人で討伐か、それでC級ね……、ブラックリストの対応率もいいし、A級に級あげしようか?」
ん?
「B級じゃないんですか?」
「そうだね、前回ボクが見落としていたんだけど、君は既にB級になってもいいほどのポイントを稼いでいたんだよ、それに今回の3人の首もあるし、先日侯爵からの依頼を達成していると報告もあったからね。正直A級になるにはもう少しポイントが必要だけど」
ポイントか……
「鉄塊の納品クエストってありますかね?大量にあるんですが……」
「もちろんあるが、どれくらい持っているのかな?」
「1000は余裕で……」
それを聞いてアマネは絶句していた。
「……この短期間でそれだけの鉄塊か、何かいい武器を持っているようだね、500ほど納品してくればA級になるためのポイントは達成できるかな」
「それじゃあ、納品してきます。」
「いや今は良いよ、先に試験をしようか」
「試験?」
「そう、実力チェック、A級は相応の実力が求められるからね、納品はその後でいいかな」
『ッフッフ!いいんじゃないですか~全力でお応えしましょ~』
なぜ、ヒスイがノリノリなんだろう?
「わかりました。試験受けます。」
「よっし、それじゃあ地下に行こうか、その子も連れてきてくれる?スタッフの誰かに預けるからさ」
アマネを先頭に地下に移動することになった。
「ところで、その子に精霊を付けたのは君の精霊かな?」
「そうですね」
「そっか、君はもしかして使徒じゃないかい?」
どこかにばれる要素があったかな?鉄塊大量に保持していることか?
「なぜそれを?」
「これでもボクはエルフだからね、精霊に関しては色々知っているよ。その子についているのは中位かなと思ったけど、上位精霊だね、上位精霊を付ける事が出来る存在なんて大精霊しかいないからね、大精霊を使役できるのはネア様や天地人の神と使徒位だからね自ずと答えがね」
大精霊の存在=使徒か、神じゃなければ、使徒のみなのかと思った。
「そうですか」
「うん、それから傷のない2人の死体をみると、武神か戦神の加護をもっているでしょ?」
「そこまでわかるんですか?」
「昔同じ死体を見た事があってね、師が同じような事をしていて、戦神アレスの加護を持っているって言ってたのを覚えているよ。それにボクに棍術を教えてくれた女性も同じことをしていたね」
アレス、ギリシャ神話あたりの神様かな?
「そうですか」
「それじゃあ地下に行こうか」
それ以降は会話もなく1階に降りた。
「ちょっと待っててね」
それだけ言うと、どこかに行ってしまった。しばらくすると1人の女性を連れてきた。
「悪いんだけど、この子の様子を見ててくれないかい?」
「はい、わかりました。」
それだけ返事をすると自分の元に来たので、女性に女の子を預けた。
「それじゃあ地下に行こうか」
「ほい」
階段を降りていくと、冒険者登録をしたジャッスエイの冒険者ギルド地下と似たような空間が広がっていた。
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