第23話 バイト終了
閉店後
「いや~兄さんありがとう~、そういや、あんたの名前聞いてなかったね~」
「秋津 直人ですよ。」
生前の顔をしているので、生前の名前を名乗った。
「ん~?秋津の人だったのかい?」
「いえいえ、違いますよ」
秋津国出身の直人って名前だと思われた?
「なにはともあれ、助かったよ、今夜は空いている部屋で休んでいきなよ」
さて好意に甘えるべきか? ナットとしてすでに部屋を借りてるんだけども、それより先にやることがある。
「それはありがたいのですが、先に旦那さんの怪我の様子を見せてもらえません?」
「いいけど、どうしてだい?」
「自分、医師が本業なんですよ」
「あんなに料理が美味いのに医者なのかい?」
そりゃ、長い一人暮らしにキャンプするたびに色々料理してたからなだけなきがするが、秋津直人の仕事は救命救急や、外科で活動してた医師だからなぁ……
「まぁそうなんですよ、なんで力になれると思うので見せてもらっても?」
「良いよ、ついてきな」
そういっておばちゃんが、厨房横の勝手口から外に出た、外に出ると中央に井戸があり、周りを家屋が囲んでいた。これは、共同の中庭みたいな所なんだろうか?
中庭を通り、別の家屋の中に入ると、ベッドに横になってるおっさんがいた。
「あそこで寝ているのがうちの旦那さ、一昨日宿の階段から落ちちゃってねぇ、それで足を痛めちまったのさ」
「なるほど、見せてもらいますね。」
ベッドに横になっているおっさんに近寄り、おっさんが庇うようにしている。左足に触れてみる。
神の手の影響だろうか、左の脛骨骨折ってイメージが湧いた。見た感じ分からなくても触れたら状態が分かるのは便利だな、ただ何事もなく治るのはおかしいので、アイテムボックスから、保湿クリームを取り出し、左足の脛にぬりつつ骨折箇所の修復をイメージした。
「これで、明日から旦那さん歩けるようになると思いますよ」
「ほんとうかい!?」
すごく嬉しそうだ、それもそうか。
「えぇ、普通に歩けると思います」
「何から何まですまないね~いくら出せばいいかね?」
「ん?治療費はいりませんよ?何もしてないので」
「さっき足に何か塗っていただろう?」
「あぁ、あれはただの痛み止めですから気にしなくて大丈夫です。そこら辺の草で出来るので」
「そうかい、それじゃあ、あたしの気持ちが収まらないからねぇ、今日の手伝いの駄賃に少し上乗せしておくよ」
「ありがとうございます。」
「お礼を言うのはこっちさ、もう遅いからね、2階の空き部屋で休んでおくれ」
「ありがとうございます。」
「あんたはお礼しか言わないねぇ」
「そういう教育を受けてるので……」
その後、1階のカウンターで駄賃を貰った後、2階奥の空き部屋とやらに案内された。ナットの部屋の真下だな……
「ほんとにありがとうね」
そう言って、おばちゃんは去っていった。
さて、どうやって部屋に戻るか、忙しくて忘れてたが、グアーラはどうしたんだろう?
『ヒスイ、グアーラはなにしてんの?』
『ん、君を探して冒険者ギルドのマスターの所にいってるよ』
どうにかしなきゃいけない事態が発生していた。部屋に来たが誰も居なくて探しに出たって事か、周囲を警戒しつつ、3階の部屋に戻り、急ぎナットの姿の戻り、服を着て冒険者ギルドに向かった。
冒険者ギルドに入ると、リアがカウンターの外にいた。こっちに気づくと、駆け寄ってきた。
「ナットさん、どこ行ってたんですか?」
「どこにも行ってないよ? 夢見亭にずっといたんだけど……」
嘘はついてない、姿を変えていたがずっと夢見亭にいたし。
「グアーラさんが探してましたよ、今頃マスターの所に居ると思いますので、一緒に来てもらってもいいです?」
その後、リアの後についてギルドマスターの部屋へ行った。
部屋に入るなり、ギルバードがグアーラに向かって。
「ほれいるじゃねぇか、ナットお前さんずっと、夢見亭にいたよな?」
「はい」
「ほら見ろ、ずっと夢見亭に居るって言ってたろうが……」
『彼は、千里眼でナットの位置把握してたんだろうね~姿までは分からない辺りまだまだね~』
それは極めたら、姿もばれるわけか……
「何度も確認したが居なかったぞ! ナットお前はどこにいたんだ?」
なんて答えよう、ふと思い浮かんだことを言った。
「あ~なんか、寝ぼけて戻る部屋間違えたらしく、2階の部屋にいた。」
自分でも間違えるとかありえないわ、とか思ったが……
「ほら見ろ……夢見亭にずっといたじゃないか」
「いや、しかし……」
「もういいから戻れ、遅い時間だぞ」
グアーラは納得いかない表情をしていた。
「むぅ……」
「ナット、明日の朝ギルドにこい、おまえさんが助けたキアナが昼間目を覚ましたからな、お礼を言いたいそうだ。」
「わかりました。」
お礼なんていいのになぁ、と思いながら、その後グアーラと夢見亭に戻った。部屋まで送ってもらった後。
「すいません、寝ぼけて戻る部屋を間違ったらしく……」
「いやいい、気を付けろよ…… じゃあな、おやすみ」
「おやすみなさい」
部屋に戻り、ベッドの上に横になった。
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