第20話 冒険者カード

 最初にギルバードと会った部屋に戻ってきた。


「さっきの所に座ってくれ、グアーラは適当にしててくれ」

「はい」

「あいよ」


 さっきの所に座り、置いてあった手帳に目を通した。手帳には規約類がびっしり記載されていた。ぱらぱらっと捲っていくと、薬草採取等の低ランク依頼のコツ等が記載されていた。 


 手帳を捲っていると、正面にギルバードが座った。手に持っている紙をこちらに差し出してきた。


「その手帳はもっておけ、この紙は、その手帳に書かれた重要な箇所を抜き出したものだ。一つ一つ説明していくから」


 その後、ギルバードから、

 S、A、B、C、D、E、Fの、基本7ランクが存在すること、

 SSランクも存在するがもう数百年在籍者が居ないという事も説明受けた。

 依頼に関しては、基本期日が存在すること、常設依頼に関しては期限がないこと、Cランク以上の依頼の中には、失敗すると違約金が発生する事等を教わった。


「先も話したが、これから2週間グアーラを付けるから色々教わっておけよ、それから護衛依頼をこなしとけ」

「護衛依頼?」


 と尋ねたら、後ろに居たグアーラが説明してくれた。


「護衛依頼の種類は、いくつかあるが、主なのは商隊の護衛と要人護衛だな、商隊は、規模にもよるが大きいと10人以上の護衛が必要になる事もある。要人護衛は、1人もしくは2人等の少数もある。拘束期間は内容次第だが、商隊は基本的に次の街までだが、要人はここだと王都までが多いな」


 商隊の方はイメージが付くけど、要人とかなると指名依頼とかにならないのかな? 一定のランク以上とか条件が厳しそうだけど。


「商隊の方はわかるんですけど、要人の護衛依頼って新人の自分が受けれるんです? 信用とか必要そうですけど」

「その為のグアーラだからな、グアーラへの指名は結構あるから気にするな」

「他に回してもらおうと思っていたが、3日後の依頼に一緒に行くか? 護衛対象に、お前さんと同じ位の女の子もいるからなちょうどいいかもしれん」

「あぁ、アヴェナラ侯爵の依頼か、確かにちょうどいいかもしれんな」


 侯爵……

 面倒な貴族様ですか……

 自分が知らぬうちに、話が進んでる。


「面倒なのはちょっと……」

「なぁに大丈夫だ、侯爵は気さくな方だからな、ため口でも問題ないぞ」


 ギルバードがフォローする。それならいいけども、さすがに面倒事は避けたいが、経験しておくべきことなのだろう。


「わかりました。3日後の依頼に同行します。」

「決まりだな!お前さんが一緒だと心強い!今日明日は、日帰りで行けそうな依頼だな、明日旅に必要なものを見ていくか」


 必要で持っていない物あるのかな?

 持ち込んでいるキャンプセットとか考えると、食料位か?


『食料とか消耗品は、コピーしてストックを増やしておくといいよ、持ち込んだものに関しては全部それが出来るからね』


 突如ヒスイが話しかけてきた。


『コピーできるの?』


 もしそうなら、働かずにずーっとキャンプ!なんて事が頭をよぎった。


『うん、ネア様の加護だからね~』


 これで確定した。衣食住のうち、衣類は持ち込んだものがいっぱいある。衣類のサイズが大人用しかないという問題があるが、食に関しても、様々な調味料に米に、ニンジン、ジャガイモ、玉ねぎ等ある。

 衣食住の住も、土地はこの世界のお金にするって、ネア様が言ってたけど、建物自体はきっとアイテムボックス内にあるはずだ、自宅と、プライベートキャンプ場に建てたログハウスがある。場所さえ確保してしまえば、遊んで暮らせる!


『まぁそれでも冒険者辞めないでしょ』

『まぁね』


 とりあえず彼女に会うまでに、出来る限り自分を高めてから会いたいし、当面の目標は、王都で開催される武術会優勝とSランク冒険者、可能ならSSランクになる事かな。そんなことを改めて思っていると、扉からノックが聞こえた。


「入れ」

「遅くなりました。ナットさんの冒険者カードが出来ました。」

「渡してやれ」

「かしこまりました。」


 リアさんがこちらに歩み寄ってくると、手に持っている冒険者カードを丁寧に差し出してくれた。


「こちらがナットさんの冒険者カードになります。血を一滴たらしてください。」


 そう言われたので、適当に指をかんで出血させ、カードに垂らした。


「なくさないでくださいね、なくすと再発行で銀貨5枚頂くことになります。」」


 冒険者カードを受け取る。なんかこれから始まるんだと思うと感慨深い。


「ありがとうございます。」

「それじゃあ、説明は以上だ、下に下りて適当に依頼を受けるなりしてもかまわんぞ」

「ナット、それじゃあいくか」

「はい」


 グアーラに続いて、ギルドマスターの部屋を後にした。

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