第18話 実技試験
ギルバードの後ついて地下に降りると広いバスケットコート2面分位ある。高さもそれなりに高いな、壁には様々な木製の訓練用武器が掛けられている。ギルバードは中央付近まで歩いて行くと、こっちに向き直った。
「よっし、ここいらでいいか、ここは訓練場だ、辺りは十分に強化してあるからな、お前さんの実力を存分に見せてくれ、壁にある武器の中から好きなのを選んでくれ」
短剣に弓、槍、剣、大剣、ナックル、大きな斧とか小さな斧、只の太い棒等もあるが、さて何を選ぶか、剣・槍・弓は問題ないけど面白みに欠けるからな、斧系でいくか? そんなことを思っていると。
『ナットせっかくなら短剣の二刀流やってみたら?』
『何か理由あるの?』
『短剣術と二刀流のスキルが存在するけど、まだ君持ってないでしょ、後はせっかくだし、直ぐに終わらせないで回避に専念したらいいかも、見切りってスキルも存在するからね』
なるほど、ただ戦うだけじゃなくスキル習得か、ヒスイの意見を採用し短剣2本を手に取りギルバードの前にもどった。
「ん?剣じゃなくていいのか?」
「せっかくの実戦なんで、使ったことない武器をと」
「ふむ、試験なのに使った事のない武器か」
そもそも、魔物相手はグレーダーボア戦以降無かったな、ホーンラビット狩したけど弓だしな……
「なら俺は、無手で行くとしようか、いつでもかかってきなさい」
『どの武器使っても、ナットには勝てないのにね……』
ヒスイの容赦ない評価が……
声が相手に聞こえていたら面倒ごとにしかならないな、そんなことを思ってしまった。
「それでは行きます。」
とりあえず、相手が攻撃してくれなければ見切りを身に着けられないので、攻撃してもらえるように、縮地で後ろに回り左膝の後ろを蹴り飛ばす。
「っっ!」
体勢を崩したギルバードが、左手を地面に着けアクロバティックな動きで、自分から距離を取った。
「おいおい、ショートワープか? 魔素の流れを感じなかった辺り、縮地か…… 恐ろしい5歳児だな……こりゃ本気で行かないと駄目な奴か」
『実戦だったら、もう死んでるのにね、相手が子供だからと言って油断しすぎ……』
まぁ、試験だからだと思うが……
そう思った瞬間、ギルバードがこっちに向かって来た。右肩を突き出してる辺り、タックルか!ギルバードが通過するぎりぎりのタイミングで相手の右側に回避し、相手の視界の外へ逃げるとすかさず右手の裏拳が飛んできた。しゃがんで回避し、そのまま後ろに飛びのいた。
「いいね~子どもと思ったらいかんな、そこそこ実戦慣れしているな、まだまだ行くぞ」
実戦は2年前の侵攻位なんだけどなぁ、後は両親からの訓練位のはずだが、今度は、こっちに走ってくるなり、蹴りをしてきた。右側に回避しつつ、左手で蹴りだした足を受け流した。両手に持っている短剣が邪魔! なければ合気道を使えるのに!
『まぁ、ちょうどいいハンデなんじゃない?一応この人適正に徒手があるし体術のスキルもあるからね~』
適正で戦ってるのか、とりあえず相手の動きが目で追えてるあたり回避には問題ないだろう。
殴りよりは、蹴りの方が多いな、受け流す際に感じるのは攻撃が重い、おかげであまり流せてない、まともに受けたら吹っ飛びそうだな、防御はダメだ、回避するかきっちり流さないと…… そんな事を思っている最中にも回し蹴りなり、かかと落としなり蹴り主体の攻撃が飛んでくる。
水面蹴りとか、地面すれすれでの蹴りを、ジャンプ回避したら悪手だった。
もう片方の足が自分をめがけて飛んできた。両手を飛んできた足に手を置き跳馬の回転飛びの要領で大きく前方へ飛び回避する。
「おいおい、今の決めた!って、思ったんだがな……」
こっちは、もし生前にこんなこと出来たら、体操で世界を狙えたのでは! なんて思った。
「おまえさん、こっちが一方的にやってるが、攻撃してこないのか? 動きを見る限り回避に専念しているように見えるが」
正解! 見切りってスキルを身に着けるためだからね!
「その通りです。動体視力を養いたいので回避に専念してます。」
「なるほどな、ならまだまだ行くぞ」
『スキル自体は、身に着いたよ。』
よっし、スキル上げならそのうち上がっていくだろうし、今度は攻勢に転じよう!
向かって来たギルバードに対して一旦背後に移動し、今度は改めて縮地で相手の背中に向けて蹴りを入れたが、子どもの体重の蹴りじゃ大してダメージが通ってない……
「厄介だな、来ると解っていても体がついて行かんな……」
『縮地に頼らないでやらないと~それに蹴りじゃなくて短剣を使わないとダメじゃん~』
ヒスイは、セコンド役なのか? 肩の上で色々アドバイスを飛ばしてくる。
なるほど、縮地を使用しないようにと……
ギルバードの拳と蹴りのラッシュ攻撃に対して短剣を合わせたり、回避する。
スキルが身についてからの変化は、相手の攻撃速度が遅くなってる気がする。もしかしたら見切りを極めると、止まって見えるようになるのかもしれないと思った。
動きは刀と鞘の二刀流と同様にしよう、左手に持つ短剣は盾として、右手に持つ短剣で攻撃をと意識すると、動きが軽くなった。
『二刀流も身に着いたよ~、元々刀で似たようなことしてたんだね、後は短剣術だ~頑張れ~』
あとは、生前ならった剣術同様の動きをしていく、左手の短剣で相手の攻撃を流しその隙に斬りつける、これをひたすら繰り返してると、ギルバードが自分から距離を取る様に後ろに飛びのいた。
「やめやめ、実際の短剣だったら俺の拳はズタズタだ」
『だろうね~短剣で受け流してたらそうなるよね~下手したら腕自体がなくなってるかもだし~短剣のスキルは、身に付かなかったね~』
あぁそうか、木製の訓練用武器だから続いてたのか、短剣術が身に付かなかったのは残念だけど、実戦で使っていればそのうち身に付くでしょ。
「新人最高ランクのCでいいぞ、その年齢でCランクは、前代未聞だが、お前さんなら問題ないだろう」
「刀を使わずにマスターと渡り合ったか。」
後ろから声がした。振り向くと、昨日の角を生やした兄ちゃんと、サブマスターのリアさんだった。
「坊主、どうだ、俺ともやってみないか?」
初めて戦う相手2戦目!行ってみよう!
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