第134話 マルシア王国へ
(ところで今日は前に言ってたとおり、マルシア王国へ行かれるんですか?)
(ああ、でもまだ行かない。行く前に朝食をバルアに奢らせないと俺の気が済まないんだ。昨日は自腹だったし。)
(いや、そもそもマスターはお金持ちですよね?、まだ盗んだお金が残ってますし。)
(そういうことじゃないんだ。人の金で食べる飯はいつもより数倍は美味しく感じるんだ。)
元は小市民だし。
(どうしようもないですね。ではバルアに朝食を奢ってもらってから出発ということでよろしいですか?)
(ああ。)
しばらくパールと話しているとルームメイトたちが起き始めた。
「おはよう。」
「ああ、おはよう。ジンはいつも朝起きるの早いな。何か理由でもあるのか?」
「いや、自然と目が覚めるんだ。」
「年寄りかよ。」
「うっせーよ。俺に毎晩負けてるくせに。」
いや、この言い方だと語弊があるような気がする。
「ぐっ、いつかてめぇを倒す。」
こう話している間もエッグは一人黙々と服を着替えている。
これっていじめなんだろうか?、うーん、分からん。そもそも向こうに話す意思があるのかどうかも定かではないし。
朝食をバルアに奢ってもらい、皆より早く食べ終わるとトイレに籠りにいく。
(さあて、そろそろ向かうか。マルシア王国へ。)
(はい。)
「転移。」
(道案内を頼むぞ。)
(了解です。それと報告です。先ほど大臣が呼び出され、例の件について話し合われています。)
(大変だよなぁ、皇帝も。)
子供たちがやんちゃしてるのを𠮟れないっていうのは親としては駄目だよな。
(現在、会議は紛糾中です。どうやら暗殺者と思われる遺体があったせいでいろいろ揉めてるようです。〉
どう考えても口封じだもんな。でも遺体があるならそれでいいじゃないかとか言う奴もいるんだろうな。本当に皇帝には同情するわ。
(皇帝はどう議論を着陸させると思う?)
(そうですね…、おそらく黒幕まで辿れるところまで辿れという命令が出されると思います。暗部は帝国の腐敗を排除するために存在しますから。)
(なるほど、まさに存在意義が問われてるってわけだ。)
ぜひとも頑張ってほしい。俺は第7皇子を応援しているからな。アイドルを応援する気分ってこんな感じなんだろうか?
それからしばらく飛び続けていると到着した。
(あれがマルシア王国の首都エーデントです。)
(凄いな、帝都とは街並みが違うな。)
(はい、入り組んだ路地が多いことで有名ですね。学園の新入生が迷子になるのは毎年恒例ですし、その分警備隊の衛兵も多いですね。)
(それは困るな。なら直接転移するか。)
(いえ、少し様子を見た方がいいと思います。古代の魔法具とかが設置されてる場合もありますから。)
(道のりは険しいな。)
(いやもう現地ですけどね。)
そんな会話をしていると王都の上空までやってきた。
ー-??ー-
一通り会議が終わった後で、皇帝は静かに護衛も下がらせて玉座に座る。
〈ジュラが暗殺されたか。ふむ、そろそろ本格的に争いが始まるな。それにしても暗部でさえ把握できないとは。まさか暗部にもシンパが存在するのではあるまいな?、たとえそうだったとしても当分はメスを入れられんからな、困ったものだ。しかしこれまでの状況を鑑みるに、おそらく黒幕はリーバーとゼルドアであろう。これまでは暗殺といったことは行われてこんかったからな。いよいよデドラ公爵も動くかもしれんな。〉
皇帝も帝国のために気にかけることは多い。
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