第40話 古竜との戦い

「水槍」

俺は次々に巨大な水の槍を飛ばすが全然当たらない。

さすがに4属性同時行使は精度が落ちるな。

身体強化は切れないし、無重力も必要、あとは幻術だが、そうしたら俺が子供ということがばれてしまうかもしれない。

[考え事とは余裕だな、人間。]

「しまっ」

尾で弾かれ、地面にたたきつけられた。

「グラァー-ー--」

ブレスが飛んでくる。

「転移」

俺は慌てて上空へ逃げる。

「やってくれたな、大きいトカゲの分際で。」

俺は甘かった、相手は古竜だ。

俺の何倍も生きている、手を抜ける相手ではない。

「光栄に思え、少し本気で戦ってやる。」

そういうと、俺は一気に先ほどより高く飛ぶ。

ここなら姿を見られないだろう。

俺は幻術を消し、仮面も外してパールに預ける。

「これ、持っといてくれ。」

「了解です。」

[人間の分際で我を愚弄するか、楽に死ねると思うな。]

「それは俺のセリフだ。」

「[死ね]」

「螺旋水槍」

「グラァー--」

奴のブレスと、俺の超巨大な風と水の融合魔法がぶつかり、大爆発を起こす。

ちっ、水蒸気爆発か。

俺は探知魔法でやつを探す。

「そこか、暗鎖」

闇魔法で縛ろうとするが奴は急旋回でかわす。

「それは、おとりだ。蒼炎槍」

[愚かな、我に火の魔法は効かん]

「そいつはどうかな。」

「グギャーー-」

[馬鹿な、なんという威力だ]

ふん、さすがにこれは効くよな。効いてくれないと困る。

「黒槍旋風」

[グッ、なんだ、これは。]

手を広げ闇魔法で黒い槍を作り出し、やつの周囲を囲む。

さあ、フィナーレだ。

手をぎゅっと握る。

「ドシュ、ドシュ」

生々しい音があたりに響き渡る。

「グ、グ」

ああ、お前ならブレスを放つよな。

「氷矢」

俺はありったけの魔力を込める。そして風魔法で回転させ、思い切り頭に向けて放つ。

「くたばりやがれ。」

俺の放った大きい氷矢はあっさり古竜の頭を貫き、堕とす。

「ふう、なかなか強かったな。パール、仮面を貸してくれ。」

「お疲れ様です。マスター。」

「まったくだよ。なんかあいつ気になることを言ってたし。」

「マスター、古竜は高純度の魔石をもってますし、牙や爪を加工すると武器にもなりますよ。」

「そうか、すぐに回収に向かうぞ。」

俺たちは竜から目ぼしいものをとっていく。

「あとは古竜の肉ですが、腐ってしまうので全部は持っていけません。」

「っち、なら余った肉は燃やしていくぞ。」

「えっ、燃やしていくんですか?」

「ああ、俺が倒したのに他の奴らに持っていかれんのは嫌だ。」

「はぁ、仕方ない人ですね。」


古竜の肉を燃やすと後には何も残らなかった。骨や目も薬の材料となるらしいので回収したのだ。

「しかし、どうするかな。結局、暴れちゃったな。」

「もういっそ、SS級を目指したらどうです?」

「それはまだ早い。目指すならせめて目指す時点でSS級の誰よりも強くなっときたい。」

「それは難しいですね、今はまだ。」

「ああ。うーん、そうだ。古竜の痕跡はないし、またどっかに飛んで行ったことにしよ。」

「それは不味いんじゃないですか?」

「不味いが、これが最善だ。俺にとって。そもそも古竜は死んでる。人じゃないが、死人に口なしというやつだ。」

「はぁ、お好きなように。」

そして俺たちは冒険者ギルドへと戻っていく。




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