第28話 英雄譚2
次の日、
「コンコン」
「失礼します、起きてください、ジン様。
帝都に向かうので早くご飯を食べますよ。」
「…うーん、なんて?」
「だから、帝都に向かうので早く起きてください。」
「え、今日行くの?」
「はい。」
は?聞いてないんだが。
そういうのはもっと早く言わないと駄目じゃん。
報、連、相は大人の基本だろ。
(来週にパーティがあるので、今から行ってもギリギリでしょうね。)
(もう少し計画性を大事にしてほしいよな。)
(マスターがそれを言いますか。)
呆れられちゃった。
朝食を食べにいくと
「父上、いきなり帝都に行くと言われても困ります。せめて昨日の段階で言っておいてください。」
マルスが父に文句を言っていた。
そうだ、マルスお前が正しい。
俺は鷹揚と頷く。
いやー、このネタ好きだわ。
これからも続けよ。
「ゴメンな、言うの忘れてた。次からは気をつけるよ。言い訳するわけじゃないけど、ほら、うちってあんまりパーティにでないから。」
思いっきり言い訳じゃねぇか。
それに、これは次もやらかすやつだな。
経験者が言うんだ、間違いない。
おお、馬車だ。
何気に初めてだな、なんか感動だ。
「さぁ、乗って。」
しばらく走っていると、
「ねえ、兄さん、なんか英雄譚持ってない?」
「ん?あぁ、これなんかどうだい。昔から伝わるもので作者不明で、語り口調なんだ。」
デジャブ!!
い、いや、竹取物語だって作者不明だからな。どうせ、創作物だろ。
(なるほど、怪しいですね。)
(おいぃー、お前そんな感性なかったんじゃないのか?)
(甘いですね、マスター。私だって成長してるんですよ。私は学習型人工知能ですから。)
(へいへい、そうですか。はあ、なんか読む気一気に失せてきたけど、読んどいたほうがいいよな。)
「分かった。読んでみるよ。」
これは今となっては昔のことである。
他人の魔力を食べれば食べるほど、強くなっていく変異型のスライムがいた。
そのスライムは食べた相手の姿を真似ることができ、能力も真似することができた。
そして人の前に現れた時にはもう手遅れで、どうすることもできなかった。
古龍でさえ及ばず、SS級冒険者がゲリラ作戦で進行をとどめ、その間に人々は大陸の西側へと移動した。
どうしようもないと思われたが、当時覇国の賢王が龍、竜、エルフ、ドワーフといった他種族との合意をまとめた。
そして、長い時を生きる古龍の提案で全生物から精神力を集め、武器の形にすることにした。ここで魔力にしなかったのは自然環境がどうなるかわからなかったためである。
全生物はスライムの暴威に耐え忍び、一つの剣を作り上げ、希望を込めて聖剣と呼んだ。
そして、最後の攻勢にでて、甚大な被害を出しながらも倒すことが出来た。
その後、聖剣は古龍によって隠された。
残念なことに、スライムという脅威が去ったあとはまた争い合うのだった。
うーん…、実話だろ。これは。
まあ、今回はちゃんと倒されてるからいいけど。
というか、災厄多くないか?
これが普通なのかね。
よくわからん。
まあでも、聖剣を隠したのは正解だったな。誰がどう使うかわかったもんじゃない。
「さあ、そろそろ宿につくよ。」
俺たちは食事もそこそこに眠るのだった。
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