第21話 初依頼
俺は掲示板に貼ってある依頼を眺める。
Gランクで受けることができる薬草採取の依頼を見ると、常時あるようだった。
依頼書には、取ってくる薬草の絵が描かれていたため、
「パール、この依頼の写真を撮っといてくれ。」とコソッという。
ギルドの外に出て、街の外へ出ていく。
すると、「何だ、お前、身分証を見せろ」
門番に問いかけられ、俺は素直にギルドカードを見せる。
「なるほど、行っていいぞ。」
しばらく歩いていると、
「怪しまれていましたね。」
「ひどい話だ。こんな善良な一般人を疑うなんて。」
「全然そうは見えませんし、自分で言うのはどうかと思います。」
「というか、薬草が取れるのはどこなんだろ。」
「そういう、いきあたりばったりやめませんか。」
と呆れたような口調でたしなめてくる。
しゃーねーだろ。土地勘がないんだから。
いや、俺、自分の領地も土地勘なかったわ。
「おっ、あれは冒険者のパーティだな。あれについていくぞ。」
「いや、だからそういうのをやめようと言っているんです。」
そして、気配を消してついていくと森が見えてきた。
「ほらな、着いただろ。」
俺が自慢げに言うと、
「たまたまじゃないですか、人生には計画性が必要です。」
うるせー、お前は俺の母さんか。
よし、この辺でいいか。
「パール、薬草探してくれ」
「えっ、自分で探さないんですか。」
「ああ、お前には探す機能、多分搭載されてんだろ。」
こういう時のために、地雷みたいなお前を受け入れたんだ。
「搭載されてますけど、それでいいんですか。」
「いいんです。見つけたやつを俺が採取すれば、とりあえず俺がやりたかったことはクリアできるからな。」
「はぁ、分かりました。では、あそこの葉を取ってください。」
「これか?」
「そうです。あとあそこにもあります。」
そうやって、採取をして、スクエアに収納していると、
「キャーーーー」
という悲鳴が聞こえてきた。
「さあ、帰ろうか。」
俺はそう言って帰る準備を始める。
「えっ、あの悲鳴はスルーですか?」
「ん、なんか聞こえたか?」
「キャーーー」
「おい、バカそんなの録音するな。せっかくスルーしようとしてたのに。」
「で、どうしますか?」
「帰るに決まってるだろ。」
危ないことには首を突っ込まない。
これ、長生きの秘訣。
「本当にいいんですか?」
「何が?」
聞いてはだめだと思うが、そんな聞かれ方をすると聞きたくなる。
「いいですか、門番の人には冒険者パーティについていく姿を後ろから見られてるわけです。そんなときに、冒険者パーティが帰らなかったらどう思われるでしょうか。しかも、マスターは顔を隠してます。」
「俺が殺したと思われるということか?」
「そこまでは言いませんが、何かしらの噂が流れ、活動しづらくなるでしょうね。」
「まだ、彼らと決まったわけではないだろ。」
「そうですね、80パーセント以上の確率で彼らですが。」
「…………あぁ、もうわかったよ。行けばいいんだろ行けば。」
「素直じゃないですね。」
おれは今世で初めて殺意をおぼえた。
分解してやろうか、こいつ。
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