第20話 本当に雨
次の日、本当に雨が降っていた。
「なぁ、お前の予測によると、どれくらい雨が降るんだ?」
「少なくても、あと3日は降り続くでしょう。」
おいおい、そんな続いたら俺の自由な時間が失われるじゃないか。
くぅ、魔法で時間を潰すしかないか。
「今日は、ギルドに依頼を受けに行くんですか?」
「お前は馬鹿か?雨の中、働くわけ無いだろ。」
少しは考えて発言してほしいものだ。
「雨の中、働いて報酬を得るからこそ、達成感も増すんじゃないですか?」
わかってねーな。人間の感情の機微って言うのを。仕方ない、この俺によるありがたい特別授業をしてやるか。
「いいか、そもそも、俺はGランクだ。そんな低ランクが受けられるのはドブ掃除、薬草採取だろ、どうせ。それに雨の中、働いて得られる報酬は雀の涙だ。かたや、俺は何もせず、月に金貨1枚をお小遣いとしてもらっている。5歳からな。それを考えると残るのは虚しさのみ。真面目に働くのが馬鹿らしくなってくる。まあ、薬草採取はやってみたいが。どうだ、わかったか?」
「…確かに、搾取する方が色々都合がいいですね。」
「お前も、迅速にいろんなことを学べばいいさ。」
早く成長してくれよ、俺のために。
人の感情が理解できるようになれば、人の感情を刺激して望む行動を起こさせることができるようになるかもしれないからな。
「では、今日は何をするのですか」
「魔法の練習だな。3属性を同時に行使している状態を保つ。ギルドへ依頼を受けに行くのに必要だからな。」
あんな、きつい思いをするのはごめんだ。
しかし、姿も変えるべきか?まあ、あれでいいか。
本当はコートを買えたらいいんだが。いくらくらいするのかな。今度、一般人に化けて店に行ってみるか。
そうやって3日が経ったが、まだ雨が降っていた。
「おい、まだ雨が降ってるじゃないか。」
「私は少なくともと言いましたーーー。」
何だこいつ、煽り口調だと。
ムカつくやつだ。本当にどこで覚えてんだ。
俺とマルス以外のメンバーが帝都に行ってから7日目、
「やっと、晴れたか。今日は冒険者ギルドに行って依頼を受けるぞ。」
「珍しく、やる気に満ちてますね。」
「流石に魔法の練習だけじゃな。でも完璧に維持できるようになった。これは大きい収穫だそ。」
そして、俺たちはまた隣の領の都市へと向かっていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます