第11話 遭遇

昼飯を早々に終わらせた俺は、中庭で冒険することを伝え、水筒をもらうとミリアに生暖かい目で見られた。

くそ、恥ずかしすぎる。まあ、これで気兼ねなく転移の旅に出れるんだけど、大切なものを失った気がする。まぁ、いい。今はそれより冒険だ。

さてどの方角へ行こうかな?、とりあえず北に行けば海だから北は却下だな。南も帝都が近くなるからなしだ。となると、東か西だが、東はトランテ王国があるからな。避けるのが無難だな。よし、西に行くか。 

そして俺は、空間魔法で体にかかる重力を操って上空に上がり、視力を強化して転移を始めた。この2年間で俺は空間魔法を極めていた。

そして、転移を5回ほど繰り返すと大きな都市が見えてきた。

「あれが隣の領地の都市か、なかなか大きいな。」

寄ろうか迷ったが、まだ始まったばかりなので時間があれば帰りに寄ることにした。

それから10回ほど転移すると、大きな山々が見えてきた。

そのまま、景色に見とれていると急に背後から何かが迫って来ているのを感じ、咄嗟に急上昇すると風の刃が通っていった。

危ねー、もうちょっとで大怪我するところだっだぞ。

振り返ると、トルケルの大規模な群れが来ていた。慌てて、転移しようとしたが、油断していたため、間に合わなかった。

おいおい、前世で鳥と縁はなかったぞと思いつつも、火の矢を数千ほど展開し、回転を加えながら飛ばすと次から次へとトルケルが墜落していく。

「はっはっ、リベンジ達成だな。風と火も同時行使できてるしな。」

しかし、何だかトルケルの様子がおかしかった。

どうして次から次へとくるんだ?、普通仲間が落とされてんだったら警戒するだろ。

まさか…

「グォォーーーーーーーー」

おいおいあれ、なんかすげえブレスをはいてるよ。

「まさかの、火竜さん特別出演ですか。あれは無属性のシールドを何枚か重ねても貫かれそうだな。逃げよう。」

チクショー、また敗走かよ。

ああもう、まじでトルケル邪魔。

俺は地上に向かって、俺の倍はある火球を放ち追走する。

おお、トルケルが避ける、避ける。最高の気分だな。

そのまま俺は地上に降り立ち、身体強化を最大限にして風魔法で背中を押し、全力で逃げる。

山の麓までやってきた。火竜からだいぶ離れたので、視力を強化し火竜の様子を窺うと、何やら腹に大きな傷があった。

なるほどな、怪我をなにものかに負わされて痛くて暴れてるってとこか。

しかし、誰がやったんだろうな。まさか、さらに上位のモンスターじゃないよな。

色々な可能性を考えていると、

「火竜が止まった?…いや、あれはブレスをためてるのか。ヤバイヤバイ。」

慌てて何重にもシールドを張り終えると火竜がブレスを解き放つ。

「グラァーーーーーーーーーーーー」







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る