第21話 明らかになる土曜日
良は土曜日の朝9時に町で一番大きな総合病院へ行った。
白と青を基調とする建物は清潔感があり、新しい。10階建ての総合病院は救急医療センターに指定されてる。
入院棟へ入り、エレベーターで祖母が入院した6階へ移動する。
病院の中は涼しく、外の暑さを感じさせなかった。
祖母が入れられた病室へ良は着いた。祖母のベッドの隣にはすでに麗奈が座っていた。
良は、麗奈に会釈をして、ベッドの反対側の椅子に座る。
祖母は点滴をしながら眠っている。
なぜか手足は包帯のようなもので縛られている。
違和感を感じていると、看護師が病室に入ってきた。
「丸田さんですか?先生から病状説明があります。この後お時間よろしいですか?」
良は立ち上がり看護師へ告げた。
「はい。よろしくお願いします。」
良は看護師に2畳ほどの個室へ案内された。病状説明の為のその部屋には、数個の椅子とパソコンが設置されている。麗奈も話を聞きたいというので、一緒に説明を受けに行く事にした。
相変わらず両親と妻と息子の居場所が分からない。
良は、祖母の事が落ち着けば、家族を探さなければいけないと思っていた。
別室で待っていると、医師が来る前に看護師は部屋へ入ってきた。
「もしかして、丸田広一さんのご家族ですか?住所が同じみたいですが、、、」
良は驚き返事をする。
「そうです。どうして父の事を、、、」
看護師は、良へ伝えてきた。
「広一さんは月曜日からこちらに入院していますよ。ここ数日ご家族と連絡がとれなくて困っていたんです。」
良は、驚き言った。
「私は、今週出張で県外へ行っていて、昨日の夜帰宅した所なんです。帰ると家の中が荒らされていて、祖母が倒れていました。祖母以外の家族が見当たらなくて困っていたんです。出張先のトラブルで携帯電話を故障してしまい、家族の電話番号が分からなくなってしまって、、、」
看護師は、少し難しい顔で言う。
「そうなんですね。丸田広一さんの主治医も、丸田文さんと一緒の先生なんです。一緒に説明を受けられますか?」
良は言った。
「はい。お願いします。」
看護師は、良の隣に座る麗奈を見て言う。
「それで、、、そちらの方は、、、、ご家族の方ですか?」
麗奈は、看護師へ伝えた。
「玉留 麗奈です。丸田文の孫になります。広一さんは私の叔父です。」
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