第20話 苛まれる深夜

救急車に乗り、文に付き添って病院へ行った。


麗奈は、明日も尋ねるからと言って帰っていった。


離婚届を見て良は動揺していた。


だが、祖母に付き添わなくてはいけない。


なぜ、父も母もいないのか?


妻は離婚届を置いてどこに行ったのか?


良には訳が分からなかった。











病院に付き熱中症と診断され祖母の文はすぐに入院となった。


点滴を打ち、祖母は意識を取り戻した。


まだ、朦朧としているようで、良を見て言ってきた。


「鈴ちゃんが、、、、、、鈴ちゃんが、、、、」




良は、妻の鈴奈が今どこにいるか分からない。

「御祖母さん。どうしてこんな事に、、、どうして、、、」



ずっと、主婦として丸田家の全てを切り盛りしてきた信頼する祖母に縋りつくように良は声をかけた。














その日、良は自宅へ帰った。


1階は荒らされているが、2階はそのままの状態だった。



大きなゴミ袋に、散らばった衣服や書類、小物をとりあえず纏めていれる。



念のため記入していたはずの電話帳を探そうとするが、見つからなかった。



妻の実家は県外にある。



もうすでに時刻は深夜を廻っていた。








あの無能な部下が携帯電話を壊さなければ、、、、


連絡先を手帳にでも残していれば、、、、


家に強盗が入らなければ、、、、






後悔と心配で押しつぶされそうになりながら良は、なんとか眠りについた。


















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