第6話 近くて遠い買い物

家から徒歩3分の場所にスーパーがある。


鈴奈は勇太の手を引き、店に入った。


以前にも来たことがある、その店は沢山の人で賑わっていた。


「あーー!ゆうくんが押すからね。ママやめてよ。」


勇太はショッピングカートを見つけると駆け寄り、器用に押し出した。


鈴奈は勇太の後ろからショッピングカートを支え、一緒に移動する。


空の冷蔵庫を思い浮かべ、ため息をつく。


同居が始まり人数が増えた分、沢山買わないといけない。


義母が「うなぎ」と言っていた。


今日ぐらいは贅沢もいいかと思い、鈴奈は夫や義父も帰宅する夕食で鰻を食べようと、購入した。


卵やオクラ、ピーマン、うどん、トマト、豚肉など夏野菜を中心にカートへ入れていく。


昼食はうどんにしようと鈴奈は昼食と夕食の材料を購入した。


「おかし。おかし。」


勇太は、買い物に飽きたのかお菓子が陳列されている場所に行きたがった。


だいたいの材料をそろえた鈴奈は一緒に行く。


「1個だけね。」


「うん。一個だけ。」


人差し指を立てて教えると、勇太は覚えているぞと自慢げに指を一本立てて見せてくる。


今日はご機嫌みたいだ。鈴奈は微笑み、一緒にお菓子を選んだ。




50円の麩菓子を選んだ勇太は、それを持ちレジまで行く。


愛想がいい店員さんが声をかけてくる。

「いらっしゃいませ。お母さんのお手伝いかい?偉いね。僕。」


勇太も返事をしてお菓子を差し出した。

「うん!」


お菓子だけにシールを貼り、勇太に手渡す。


満足げな勇太はニコニコと嬉しそうだ。


買い物を終えて、鈴奈はリュックに食材を入れた。



今日はとてもスムーズに買い物ができたと、鈴奈は少しほっとする。



「お菓子はお家に帰ってからね。」


「帰ってから!」


勇太と手を繋ぎ、自宅へ帰って行った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る