ムスメのリベンジ

ちゃくら。

第1話

第一話



 初めに見たのは、入学式。新入生代表として挨拶をする姿だった。私は、最前列だから彼女の顔をよく見えた。綺麗な顔しているなぁなんて思った。


 彼女...一ノ瀬さんの第一印象なんてそんなところだった。クラスも違くて接点もない。私とは関わることないだろうと思っていた。あんなことを起きるまでは...


 その日は、やけにカラスが鳴いていた。薄暗い夕方に一人暮らしをしている家の布団の中で私は少しえっちな漫画を読んでいた。

 「ふーん、エッチじゃん。」

 濃厚なキスシーンのページを見て独り言を言う。 私もいつかはこんなキスするのだろうか。思わず自分の唇を触る。ザラザラだ。リップが入ってあろうコートは玄関にある。めんどくさいなぁ。する相手もいないし唇がザラザラでも問題ないからいっか。

 私は面倒がり屋だ。今だって30分ほど前にスマホに連絡が来たけれどそんな急ぎの内容じゃないから返事をしない。洗濯物だってすぐ溜めてしまうし、自炊だってしない。基本的に食事はコンビニか宅配だ。


ピンポーン

 呼び出し音が鳴る。布団から出たくないけれど仕方なく玄関のインタホーンを見る。そこに映ったのは……

「なに、この女の子?」

 画面が荒く、正確には顔はわからないが、セーラー服を着た女の子がいた。

「はい。」

「突然ごめんなさい。今、不審者に追われてて助けてもらえないでしょうか。」

 え、それは大変だ。急がないと。私は返事をせず、玄関のドアを開けて女の子を部屋に招き入れた。

 女の子には悪いが、生憎うちには椅子がないので悪いけれど地べたに座ってもらう。

「大丈夫ですか?警察に連絡しましょうか?」

 追われてる立場というのにやけに落ち着いている彼女に聞き、入れたお茶を渡す。受け取って一口飲むと

「嘘なんで大丈夫です。」

 淡々と言った。

「はぁ!?嘘?」

この子、嘘って言った!?こんな堂々と嘘ついたという人は初めてだ。というかまぁ嘘で安心した。

「それよりあなたに重要な話があります。」

 眉を顰めて難しい顔をして言うので少し心配になる。

「私……一ノ瀬咲夏の子どもです。」

 ん?一ノ瀬さんの子ども?え?16歳でママ?この子、何言ってんの?

「き、君が不審者じゃん。警察行く?」

 口から出た言葉はコレだった。女の子だと思って油断した。この子、不審者だ。怖い怖い。

「行かないですし、不審者じゃないです。」

 またお茶を飲んで焦るような仕草はない。

「そりゃあ不審者は自分で不審者って言わないからね。」

 警察を呼ぼうと電話を取る。

「私の名前は一ノ瀬季星きせきと言います。25年後の世界からやってきました。雨季さん、ママと結婚してください。」

 え、私この子に名前言った?不審者じゃなくて私のストーカーとか?ツッコミどころ多すぎる...しばらく沈黙していると

「信じてないですか?」

 季星という女の子は制服の胸ポケットから一枚の写真を取り出し、私に渡してきた。

「もちろん。ストーカーかなと思ってる。」

 顔がくしゃくしゃの作り笑顔で応える。写真を受け取って見てみるとそこに写っていたのは……。

 

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