第15話 ハッタリ聖騎士ツヨシさん

「我が名はツヨシ!ケント寺院所属!聖騎士ツヨシ!滅びよゴブリンども!」


俺は左右の手に持った剣から炎と電撃を放ち、キメセリフを叫ぶ。

強そうに見えるだろ?実際にはその辺のチンピラに殴られただけで即死するくらい貧弱なんだぜ。なんたって、ステータス補正値オールゼロ!

弱いのがバレないように、強キャラ演出してるんだぜ!

ケント寺院所属の従業員となった俺は、寺院内に自室を与えられ、仕事をこなすようになっていた。

ゴブリン残党討伐にも積極的に参加し、こうして士気高揚と寺院の売名にいそしんでいる。

殉職した衛兵氏のかたきを早く討ちたいしね。

使っているのは魔剣なんだが、対外的には「神剣」と称している。

聖騎士と名乗っているが、単なる自称でハッタリである。


ハー、良かった、今日もハッタリがバレなかった。

強キャラっぽい雰囲気を維持するのって大変だよ。

こけおどしのよろいは重いしさ。


対モンスターに限定すれば、敵に狙われないステルス能力と魔剣の火力で、遠距離からチマチマ撃てば、そこそこ貢献できそう。

でも、対人は無理。普通の犯罪者にナイフで刺されたら瞬殺されちゃう。

本質的にクソ弱いんだよ俺。しかも、どんなに戦ってもレベルアップしないし。

永久虚弱。ずっと弱い。死ぬまでハッタリ人生。ちょっとつらい。


まあこれでゴブリン残党は討てたし、あとは別の街に住む殉職した衛兵氏の家族に遺品を届けて、最期の姿を伝えるミッションだけか。


偽造パスポート…じゃなかった、偽造ステータスプレートも作ってもらえたしね。

寺院が作った本物の偽造プレート。

「聖騎士」というウソの職業ジョブと、「火炎」「電撃」など、ウソのスキルが記載されてる。

このプレートがあれば旅行もできる。


ケント寺院に戻ったら、休暇願と旅行届を聖女様に提出しよう。

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