第3話 弱すぎてゴブリンから無視される

異世界大平原ひとりぼっち。

何の説明も無く、フチンで荒野に放り出された。

これはアレだろ。人権侵害だろこれ。


歩きながら、いろいろ確認した。


①【俺の外見】

黒ブチ丸メガネ。ブサメン。

穴だらけの黒いマントの下にブーメランパンツが丸見え。

スネ毛丸出し。剛毛。黒いビーサン。

…ものすごく怪しい風体だと思う。


②【所持品】

魔女が落としたステータスプレート。以上。

水も食料もナシ。

…死にそう。


③【肉体】

衰弱。空腹。

…死にそう。


川に戻って水だけでも飲むか…

…んん?

何かの足音?なんかいるぞ?

そうだ、ステータスプレート!

マップ検索…青点!そっちか!

こんな大平原なのに、なんで気づかなかったんだろう?

死角だったか?

…馬車だ!

ヒトだ!助かった!

おーい助けてくれ!

あっ馬車の人が気づいてくれた…


御者「へ、変態だ!」


馬車を操っていた御者が、恐怖の表情で俺を見て、逃げ去っていく。

誰が変態だ!俺はノーマルだぞ!ムキー!

戻ってこいやオラ!

…あー行ってしまった。

なんで逃げるんだよ!ふざけんなよ!

確かにちょっと怪しいが、全裸よりマシだろ!

脱げってのかよ!

チックショー!

ハーしゃあない馬車が逃げた方向目指して歩くか…

良く考えたら、あの馬車の人、日本語話してたよね。

おかしな魔女も日本語だったし。プレートの表示も日本語オンリー。

ここ日本なのか?北海道?試されてんのか俺?


…んん?

なんか地響きというか、今度はまるでモンスターの大群が集団で突進してきているような音が聞こえる…ちょっと、ステータスプレート!

検索!…って、すごい数の赤点!マジでモンスターがいる!

知ってるぞ、ゴブリンだ!緑の小鬼。ゲームで見たから知ってるぞ!

草原をゴブリン軍団が走ってこっちに‥ってやべぇぇ!

小柄だが、筋骨隆々、まさにモンスターだ。

こっちに向かって集団で走ってくる!

絶対勝てない。は、早く逃げなきゃ。

くそが、プレートの検索機能、役に立たねえな。

検索可能範囲狭過ぎ!目視で確認できる範囲のほうが断然広いじゃねえか!


ぐっはぁ!先頭を走ってきたゴブリンに俺は跳ね飛ばされ、吹っ飛んだ。

俺、弱!

次々とゴブリンが走り寄ってきて、動けない俺。

何度か軽く踏まれて激痛で悶絶もんぜつ

もうだめポ…

半泣きで絶望、フリーズしていると、ゴブリンたちが猛烈な勢いで草原を走り抜けていく。

…俺を無視して。


あれ?ひょっとして俺シカトされちゃってます?空気かな?

いやたしかに俺普段からハブられ気味だけどさ。

異世界でもエアーなわけ?

ゴブリンたちの集団行動は見事で、隊列を組んで目的地を目指し疾走しっそうするゴブリン集団。彼らの背中が草原に消えていく。


…スルーされた?…


ここがどこかもわからず、どこに行けばいいかもわからない俺は、とりあえずゴブリンが向かった先に向かって行ってみる事にした。

あいつらが通り過ぎた跡なら、逆に安全だろ。

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