傍で・・・

ハル

第1話 瞳の奥の記憶、出逢い

出逢いは


いつどこであるか分からない


どんなシチュエーションでも


たった1つの出逢いなら……




ふとした突然の出来事が


恋の始まりと


恋の予感の


瞬間なのだから――――










「さあ、瞳を開けて下さい」



「………………」



「ゆっくりですよ。ゆっくり」




私、紗伯 悠佳(さえき ゆうか)。15歳。中学3年生



事故で目をやられ手術をし、今、私の目のに2つの光が差し込もうとしていた。




ザザン……



《…海…?…波の音…?》 




そして私の瞳に開ける直前、1つの光景が飛び込んだ。



ドキン…




《…男の人…誰…?》




私は瞳を開ける。




《…今の…何…?》




「どうですか?見えますか?」

「えっ?あ、はい…」




《…幻……?…でも…》




そして、その後の経過も良く、私は退院をした。






そして、春。4月。高校一年生。15歳。




「悠佳ぁぁぁぁ〜っ!久しぶりぃぃぃ〜っ!」



親友の、釈 由紀穂(せき ゆきほ)


ガシッと私の両手を握る。




「私は、ずぅぅーーっと、この時を待ってたんだから〜」



「由紀穂…ありがとう♪」

「あなたに会えて私は、とても Happy〜♪」



私達は久しぶりの再会に話が弾むのだった。






ある日の事だった。



「本当、良かったわーー」

「そうだな。一時はどうなるかと思ったが」

「そうですわね」




家族水入らずでクルージングの旅に出掛けていた。

たくさんの予約殺到の抽選で、かなりの倍率で競争率が高いはず。




私達は食事を済ませ、私は一人デッキの上を散策。




その途中――――



グイッ



ドサッ



誰かから押さえ付けられた。





その直後――――




プシュン



バリーーーン





ビクッ




硝子が割れる音がし、破片が散乱する。





一瞬の出来事に驚きを隠せない私。





「…な…に…?…今の…何が起こったの…?」

「怪我はないか?」




グイッ


私を起き上がらせる。



ドキン





「あ、あの…」

「何処か痛むのか?」

「あ、いいえ…大丈夫です…」

「そうか」





ボーーー……



船の汽笛が海原に響き渡る。



スッと私の前から去り始める。





「あ、あの!」

「何だ?」

「あ、ありがとうございます!」


「別に礼なんて言われる程、良い人間じゃないからな」




そう言い残すと去って行くのだった。






そして、その日あった出来事を、後日、由紀穂に話をした。




「へえー、クールね」

「…うん…」





数日後―――――




「そんでさーー……」

「アハハ…うっそ!マジ!?」




ドン

私は気付かれず、相手がぶつかってしまい私は車道に飛び出してしまった。




ドサッ


「きゃあっ!……っ…」





ブッブー……


一台の車が私に向かって突進してくる。




「…やだ…死…でも…足が…痛い…」




グイッ


誰かが私の腕を掴み歩道に引き寄せる。



「大丈夫か?」



ドキッ




「すみません…あの…」




ドキン

助けてくれた男の人に、何処か惹きつけられる自分がいた。



そして、咄嗟に出た言葉があった。




「…雄…史…」



彼の名前と思われる事だった。



「えっ…?」


彼は驚いている様子だった。




「…お前…どうして…俺の名を…?」

「…えっ!?あ、あのー…私…何か…」



私は無意識に彼の名前を言った事など知る由もなく…




「…いや…足、平気か?」

「えっ?…あ、はい」




スッと私を抱きかかえお姫様抱っこをする。




「えっ?や、やだ…!ちょ、ちょっと良いです!大丈夫です!平気…恥ずか…」



私は慣れない対応をされ恥ずかしさの余り暴れる。



ズキッ



「…っ…」


「暴れるからだ」


「だって…私、こういうの慣れてないんです!だ、だからせめておろして下さいっ!両足痛めたわけじゃないし歩けます!手を貸して頂けるくらいで……」


「だったら最初から、そう言えば良いだろ?」


「そんなの色々ありすぎて余裕なかったっていうか…」




男の人は私をゆっくりおろすと、手を貸し、車に乗せた。





「あ、あの…どちらへ?」


「手当てをする。安心しろ。変な場所に連れて行ったり、連れ回したりはしない」



「………………」




「丁度マンションに戻る所だったからな」




私は彼のマンションへと行く事になり――――




「…広い…部屋……」


「そこに座れ。今、救急箱を持って来る」



そして彼は手当てをしてくれた。




「ありがとうございます」


「別に当たり前の事をしたまでの事だ。お前、名前は?」


「えっ?名前?あ、悠佳。紗伯 悠佳です」


「…俺は雄史(ゆうし)。三影 雄史(みかげゆうし)だ。お前に1つ聞きたい」


「何ですか?」




「さっき、何故、俺の名前を言えた?初対面のはずだが?」


「…覚えていないんです。咄嗟に出たんだと思います。あなたと私は、あなたが言う通り初対面なので……」



「…そうか…」

「あの……私…本当にあなたの名前を?」

「ああ。ハッキリとな」

「…そう…なん…ですね」



「とにかく送ろう。その足じゃ何かあったら遅いし時間もかかるだろう?」


「いいえ…平気…」

「出掛けるついでだ。車に乗れ」

「…でも…」


「何か問題あるのか?付き合っている相手がいるとか?だったら連絡でもすれば迎え……」


「いません!私は、そういう家系に生まれたわけじゃないので…」


「じゃあ…送るのに問題はないのか?」

「はい…特には…」

「まあ、何か問題生じたら、キチンと説明しよう」

「ありがとうございます。大丈夫とは思いますけど」




私は送ってもらう事にした。





「ありがとう…それじゃ」

「ああ。念の為、病院には行くんだ」

「あ、はい…」




別れる私達。




「…やけに大きい家だな?お金持ちのお嬢様なのか?」





♪♪♪〜


「はい。分かりました。すぐに伺います」



俺宛に仕事依頼が来た。


俺は向かった。



















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