第91話 十四回目の真夏の日

十四回目の真夏の日、君の心は脱皮した。アイスクリームのように甘かった子供心は和室の箪笥の抽斗にひっそりと仕舞われた。鏡にも、幼い君はもう映らない。その日の入道雲の形まではっきりと覚えている。埃っぽい夕日の匂いも。夜の手前の群青色に、君の瞳は染まっている。真新しい心の苦味に触れて。

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