第83話 夜の旅

トランクに荷物を詰めて、肌寒い星空の下へ飛び出す。行く当てなんてないけれど、どこへ行こうか。街明かりを越えて、最終電車に乗る。誰もいない車内。窓に流れる暗闇をぼんやりと見つめる。過ぎ去った時間がぽとりぽとりと落ちていく。私は私を忘れ、旅に出る。大事なものは、あの部屋に置いたまま。

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