第78話 濁った夜
火を付けた煙草の先から、灰が落ちた。濁った夜だった。月は分厚い雲に遮られている。目の前にいるのは人間のふりをした悪魔かもしれない。優しく笑って騙そうとしている。朝はどっちだ。時計の針も逆さに動く。風が吹いて雲が流れ、わずかに射し込む月の光。ほんの一瞬、照らし出されるのは誰の顔か。
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