第63話 エンジン音
静かな夜に、車のエンジン音が響く。近付いたと思ったら遠ざかり、テールランプが窓を照らす。狭い部屋に一人寝転がる。電気は付けない。それなのに、壁や天井にはなぜか淡い光が反射している。またエンジン音。誰かを乗せて、町を走る。私も行きたい。誰も知らない遠い町へ。あのエンジン音に乗って。
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